「ニュースなんか1つも流さなくたってよい」「(金銭で)協力しない市町村は取材に行く必要はない」「スポンサーは『ポチッとくん』(群馬テレビのマスコットキャラクター)が踊ってさえいれば気にしない」――。
これらは、武井氏が社長在任中に社内で発言したとされる内容の一部だ。解職の引き金となったのは、強引に進められた業務の内製化や頻繁に繰り返される人事異動、さらにはこのような武井氏の数々の発言により、現場の我慢が限界を超えたことだった。
同社関係者が「労働組合員だけでなく、管理職や取締役の中にも、誰も(武井氏の)支持者はいなかった」と話すように、この急展開を迎えるまでに武井氏に対する不信感は会社全体に広がっていたようだ。
昨年8月に組合が要求書を提出
テレビ広告の出稿が落ち込み、売り上げが減少傾向にある中、とくにコロナ禍以降、武井氏はニュース番組の時間短縮による取材費削減や、制作会社などへの外注削減といったコストカット策を急速に推し進めてきた。
「社員数が減っていく中で、全員が(複数の役割をこなせるような)ユーティリティプレーヤーになっていかないといけない」という方針の下、人事異動も頻繁に繰り返されていたという。
事態が動き出したのは、2023年8月30日に労働組合が会社に対する「要求書」を提出してからだ。
組合は会社に対し、「県の取材なんか全部シャットアウトしたらいい」などといった武井氏の数々の発言に対する見解や、過度な外注削減による社員負担増の是正、頻繁に繰り返される人事異動の適正化を求めた。
組合の前島将男委員長によれば、「人事異動は従来1年に1回だったが、(武井氏の)社長就任2~3年目から2回、3回と徐々に増えていき、最終的には毎月人事異動があった」という。
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