ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(The Hangover Part2)--続編の多発は成長を止める可能性あり《宿輪純一のシネマ経済学》
最近の映画製作には大変な資金がかかる。そのため、一定レベル以上の興業収益が見込める安全策を取る必要が出てくる。そのため、企画が多数の人に受ける無難な内容に向かっていく。“尖った”映画は避けられる傾向になるわけだ。
©2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES
この安全な方向性が、ヒット作品の続編ブームに向かっていく(日本のテレビも、コスト削減とともに同じようなとりあえず視聴率を稼ぐといった方向にあると思われる)。
しかし、“尖った映画”を作りたい人々は、実は生きている。ケーブルテレビの世界である。ケーブルテレビの契約は年間といった一定の単位での契約になっている。そのため、契約枠の全体の中では、何本かは“尖ったドラマ”を作ることができるわけだ。そして、このケーブルテレビのドラマのレベルが極めて高い。最近ではケーブルテレビのドラマを元しに多映画も作られている。
リスクはあるとはいえ、ケーブルテレビのように“尖った”作品を挑戦的に作り続けることが、映画界全体の発展につながると個人的には考えている。
しかし、本作品は米国では、北米映画興行収入ランキング1位となっている。ある程度のレベルをキープしていればよいということか。少々複雑な心境である。R15+指定のおバカムービーでもあり、単純に楽しめばよいというわけか。
©2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES
しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・エコノミスト・早稲田大学非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(4年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。
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