ウクライナへ車いす1000台、支援活動の一部始終 日本のボランティアが奮闘、新たな取り組みも

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プロジェクトに加わったNPO法人「飛んでけ! 車いす」の会(北海道)の吉田三千代・前代表理事は、「1台の車いすは整備班 4人の温かい手で丁寧に整備・調整しました。心を込めた車いすを使ってください」と話した。

日本の車いすが届けられ、笑顔を見せるローマンさん(中央)。左が筆者、右が妻の史子(2023年5月、キーウ近郊イバンキフ村で撮影)

NPO法人さくら車いすプロジェクトの斎藤省前代表は、「日本人の思いをのせた1000台を超える車いすが生活の助けになることを心から願っています」と語った。

日本国内での中古車いすの回収・整備・清掃・検品・包装・出荷は、NPO法人、工業高校、ライオンズクラブ、障害者の自立生活センターが引き受けた。ポーランドの港までの輸送は日本郵船、株式会社三協(横浜市)、商船三井が無償支援を申し出た。ウクライナ国内への輸送・配送はウクライナの慈善団体「フューチャー・フォー・ウクライナ」(FFU)が担当した。

コンテナ価格は1週間で倍以上にハネ上がった

2023年9月に第4便305台が届けられた北東部ハルキウ市は、ロシア軍の攻撃を受けた前線に近い都市の一つだ。街の人々は「自分たちは鉄とコンクリートでできている」と胸を張るが、届け先のサルチフスキー区社会サービス地域センターだけでも「車いすを必要とする人が最大1500人いる」と聞かされ、気が遠くなった。それがこの戦争の現実だ。

イスラエル・ハマス戦争で親イラン武装組織フーシ派がイエメン沖で27隻の船舶を無差別攻撃したため、第5便は南アフリカ喜望峰回りとなり、ポーランド・グディニャ港着は2週間遅れの2024年2月16日の予定。アジア・北欧航路のコンテナ価格は1週間で115%上昇した。

コロナ禍で暴騰したコンテナ価格はその後、10分の1以下に下落。その間に車いすの大半を送ることができたのは幸運だった。

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