ウクライナの状況は2023年6月開始の反攻が不発に終わり、冬になって次第に厳しさを増している。
慈善団体FFUで車いすプロジェクトを担当するカリーナ・カピタニュークさんから第5便の出荷直前、妻の史子宛てに電子メールが届いた。
「長い間連絡できなくて本当にごめんなさい。メールに問題があって、昨日ようやくすべて復旧しました。ですので、たくさんたまっている手紙に少しずつ返事をしています」
ウクライナの首都キーウでは空襲が増え、カリーナさんの自宅から1キロメートルのところで爆発があり、破片で多くの家や通信手段が被害を受けたという。幸いなことにカリーナさんも家族も無事だった。
「12月はいつも私にとって待ち遠しい月です。2人の祖母と母の誕生日、聖ニコラウスの日にクリスマス。そしてニューイヤーがやって来ます」(カリーナさん)
しかし、ロシアによる電力インフラへの攻撃が続いた2022年12月がどのようなものだったかを思い出し、カリーナさんは不安な気持ちで2023年の12月を迎えた。
キーウへの空襲が絶えず、突然、電気が止まる。計画停電ではない。水道が止まることもある。停電になると、電気ストーブと電気湯沸かし器は役に立たない。1、2食分の食事を常備しておくようになったというカリーナさんはこう語った。
「冷めても食べやすいものを用意します。魔法瓶にお湯や温かいお茶を入れておくと、停電の時でも温かい飲み物を口にすることができます。この12月はつらいです。外はつねに曇っていて空気が張り詰めています。家を出る前に空襲の状況を見ておかなければなりません。ミサイルの脅威がある間は公共交通機関が動かないので、出退勤に大きな支障を来します」
空襲警報が鳴る前に爆発音がとどろく
弾道ミサイル攻撃では、空襲警報が鳴る前に爆発音がとどろく。カリーナさんは2023年12月13日未明、大きな爆発音で目が覚めた。壁の強度が他の場所より期待できる廊下に隠れた。それでもミサイルが直撃すれば命の保証はない。さらに数回の爆発音が聞こえた。何が起きたのか、スマホの空襲警報アプリを確認したが、警報はまだ鳴っていなかった。
「弾道ミサイルの攻撃だとすぐにわかりました。午前3時ごろで、その夜はもう眠れませんでした。不安とストレスで全身が震えました。とても大きな音だったのでミサイルが着弾したか、破片がすぐ近くに落ちてきたかのどちらかだと思いました」(カリーナさん)
ウクライナ空軍司令部によると、キーウを狙う弾道ミサイル10発はすべて対空ミサイル部隊によって撃墜された。
弾道ミサイルはカリーナさんの自宅近くの上空で迎撃され、大きな破片の一つが自宅から約1キロメートルのところに落下したことが朝になってわかった。午前中、後片付けをするため近くの道路はすべて封鎖された。死傷者も出た。多くの住宅の窓ガラスが割れ、カリーナさんが通っていた学校も被害に遭った。
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