ウクライナへ車いす1000台、支援活動の一部始終 日本のボランティアが奮闘、新たな取り組みも

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「空襲が未明で、子どもたちが学校にいなかったのが不幸中の幸いでした。一緒に住んでいる祖母は落ち着いていました。翌日もキーウへの空襲は5回あり、爆発がありました。私たちはオフィスから防空壕へ行ったり来たりするばかりで仕事どころではありませんでした。しかし私たちは首都に住んでいるので、まだ空爆から守られています」。カリーナさんはそう語った。

空襲の被害を受けたカリーナさんの母校(カリーナさん提供)

「私たちは奇妙な時代を生きています。空爆にも慣らされました。空襲警報後のニュースを読めば防空壕に隠れるべきか否か、敵が何を発射したのかわかります。時に恐怖におびえながら、マンションを改装し、遊びに出かける。こんなに明暗の激しい生活を送ることになるとは想像もしていませんでした。しかし人は何事にも慣れるものです」(カリーナさん)

結束する「ならず者国家の枢軸」

アメリカ国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は2024年1月4日の記者会見でこう発表した。

「年末年始の5日間、ロシアはウクライナに繰り返し空爆を行った。ドローン(無人航空機)やミサイルを使いウクライナ全土の都市や民間インフラを攻撃した。産科病院、ショッピングモール、住宅地が攻撃され、数十人が死亡、数百人が負傷した」

カービー氏によると、北朝鮮は最近、弾道ミサイル発射装置と数十発の弾道ミサイルをロシアに提供した。2023年12月30日、ロシアは少なくとも北朝鮮製の弾道ミサイル1発を発射し、ウクライナ南部ザポリージャ州の耕地に着弾。2024年1月2日には複数の北朝鮮製弾道ミサイルをウクライナに向け発射した。射程はいずれも約900キロメートルだという。

北朝鮮製弾道ミサイルで民間人に犠牲が出るのはもはや時間の問題だ。ロシアは早ければ今年春にイランからも短距離弾道ミサイルを入手するとの観測も流れる。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」(ISW)によると、ロシアが弾道ミサイルの国外調達を進めるのはウクライナの防空システムをくぐり抜けるのに弾道ミサイルが一番効果的だからだ。

「ならず者国家の枢軸」の結束でウクライナが追い込まれているのに対し、戦争に巻き込まれたくない西側の足並みは乱れる。急ごしらえのウクライナ軍が機甲師団による電撃戦に必要な大規模統合作戦を不得手とした面は否めないが、米欧による武器弾薬の供給が遅れたためロシア軍に分厚い地雷原を構築する余裕を与え、反攻の好機を逃してしまった。

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