前線は膠着状態に陥り、第1次世界大戦を彷彿とさせる悲惨な塹壕戦が繰り広げられる。
2023年4月、ウクライナ西部テルノピリ市にある2つの公立病院を訪れた時、病床はすでに負傷兵であふれ返り、“戦時病院”と化していた。病院の院長は「140床あるベッドの大半は負傷兵で埋まっている。入院患者の85%が負傷兵だ」と話した。
ルハンスク州クレミンナで対戦車地雷を踏んで左足を吹き飛ばされたヴラディスラさん(当時21歳)は医療従事者の助けを借りてリハビリに取り組んでいた。戦前は大学で法律を学ぶ学生だった。
セルヒーさん(当時46歳、右写真)は東部ドネツク州の激戦地バフムートで撃たれ、右足を失った。動員される前は炭鉱会社に勤めていた。みんな、元は普通の市民だった。
テルノピリ州立病院では2022年4月~2023年1月までの10カ月間で約6000人の患者に2万回の手術が行われた。1人で最高15回手術を受けた負傷兵もいた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(2023年8月1日付)によると、ウクライナ戦争が始まって以来、手足を失ったウクライナ人は2万~5万人と推定される。
一連の車いす支援は終了、新たな取り組みの可能性も
ウクライナ政府は手足を失った兵士に最高2万ユーロ(約318万円)を支給しているが、義肢は5万ユーロ(約794万円)以上するものもある。
FFUは車いす支援プロジェクトのほか、2022年9月からアメリカ・ワシントンとマルタのクリニックで12人のウクライナ人兵士に高品質の義肢装具提供を支援している。
ウクライナはまさに正念場だ。一連の支援活動は終了したが、NPO法人「海外に子ども用車椅子を送る会」(東京都福生市)の森田祐和会長は、「今後も条件さえ整えば単独で挑戦したい」と意気込む。筆者も史子も微力ながらお手伝いしたい。
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