台湾総統選を受け、中国が軍事演習を行う可能性 自民党の小野寺元防衛相「日本も当事者意識を」

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松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):今回の台湾総統選では、直接投票での総統を選ぶという選挙が始まってから初めて、3期連続で同じ政党が政権を担当するということになったが、その頼清徳氏が次の総統に決まった一方で、立法院選挙では「ねじれ現象」で、それまで過半数を取っていた民進党が少数与党に陥るという状況になったが、小野寺氏はこの影響をどういう風に見ているか。

小野寺五典氏(元防衛相/自民党・安保調査会長):私は、民進党がもっと議席を減らすんじゃないかと思ったが、意外と接戦っていうか。51対52ということなので、むしろ、民衆党という第三党、ここがある面でキャスティングボードを握るようなことになると思う。

ただ、やはり先ほどもあったが、以前、蔡英文総統の前の民進党の陳水扁総統の時に、アメリカから潜水艦を購入しようということで、実際契約に至っていたが、最終的にはやはり議会がねじれていて、国民党の反対で成立しなかったこともあるので、台湾としてはアメリカからしっかり防衛装備を買いたいと思っていると思うが、予算を最終的に決める議会がどういう方針を示すか。新しい総統は、相当丁寧にやはり運営をしていくことになるんじゃないかと思う。

松山キャスター:頼次期総統がやる方針に議会が反対する行動、というのは今後起きうることなのか?

柯隆氏:起きうるが、今回の「ねじれ」によってむしろ、この政権が長期政権になる可能性が非常に高くなる。なぜかというと、いい加減な政権運営ができなくなり、スキャンダルも多分少なくなるので、4年後の選挙を考えた場合、そのまま8年やる可能性も高くなってくる。また、副総統になる蕭美琴(しょう・びきん)は、ものすごく英語がうまい。トランプ氏より英語がはるかにうまいと思う。アメリカとのパイプ、特に議会とのパイプがすごく太い人で、彼女が多分、さらに次の総統になると思うが、そうするとトータルで16年間の民進党政権が誕生するような意味も持ってる。

台湾の民意どう動いた?

松山キャスター:今回の総統選の結果、総統選は民進党が与党・民進党が勝利。一方で立法院では国民党が最大政党になった。この構図はどういうふうに見ている?

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):もう直接選挙のこの総統選で、もう本当に抜群のバランス感覚を台湾の人々が発揮したな、というふうに思う。もちろん民主主義が進展するにあたって、既存の政党に対する批判票が増えて第三局が躍進するというのは、日本でもそうだと思うが、今回もやっぱり中国との距離感について、蔡英文総統の時の距離感よりも、もうちょっと中国に近めに行かなきゃいけないんじゃないかと。まあ、現状維持っていうものを主張しなきゃいけないんじゃないかという票がかなり出たんだと思う。

ただ、僕は柯文哲氏と数年前に直接話をさせてもらって、そのあと、民衆党の方々とも話をさせてもらっている中では、防衛力の強化については、彼は蔡英文総統とほぼ考え方が同じなので、アメリカからの武器提供に関して、民衆党の柯文哲氏が、それに反対するってことは、僕はないと思っている。ただ、その主張として高らかに独立ということを前面に出すということではなく、とにかく主張としては「現状維持」。だけれども、中国にやられないように、しっかりと防衛力を強化するというのが柯文哲氏の考えだと思うので、僕は台湾の外交安全保障は、非常に安定するんじゃないのかと思っている。

(写真:FNNプライムオンライン)
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