松本人志氏の性加害疑惑対応に見る「空気の変化」 ジャニーズ問題も経て変わりゆく「日本企業の対応」
吉本興業、あるいは松本氏が記者会見を開いたとして、記者からは、報道されている内容である4を想定しての厳しい質問が出ると想像される中、どう事実関係を調査・認定して、かつ説明するかという難しい問題がある。
文春の報道がまだ今後も続く可能性もあり、記者会見を開いて自己の正当性を主張したとしても、もしその後にそれを否定する新たな報道が出てしまうと、主張の正当性は揺らぎ、記者会見を行った意味も薄くなる。
文春も告発者側も対抗姿勢を示していることを考えると、少なくとも相手側からの反論もなく、そのまま事態が収束していくとは考えにくい。今の時点では「活動休止」が松本氏サイドがとれる適切な対応といえるだろう。
迅速に対応したメディアとスポンサー企業
続いて、この騒動についてのメディアと広告主(スポンサー企業)の対応について触れたい。一言で言うと、両者ともに「迅速な対応を行った」と言えるだろう。
まず、NHKが1月2日、翌日放送予定のスピードワゴン小沢氏の出演番組の放送を見合わせるという判断を行った。なお、小沢氏は性加害が行われたと主張されている飲み会を設定した(週刊誌的に言えば「女衒役」)ように報じられている。
この段階では、小沢氏の所属事務所のホリプロコムから「私どもからお話することはございません」というコメントが出ているのみだった。
事実確認ができていない段階で放送を見送るのは、何らか表に出てこない事情があったとも想像されるが、少なくともその時点で「(小沢氏、および所属事務所は)十分に説明責任を果たしていない」という判断があったのではないかと筆者は考える。
1月9日に入り、ホリプロコムは文春の報道内容を「小沢の行動には何ら恥じる点がない」「特に性行為を目的として飲み会をセッティングした事実は一切ない」と否定したうえで、小沢氏の活動継続を発表したが、1月13日に一転して、活動自粛を発表している。
そこには、取引先であるメディアやスポンサー企業への配慮があったのだろうが、小沢氏側の主張の正当性が揺らいで見える結果ともなってしまっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら