松本人志氏の性加害疑惑対応に見る「空気の変化」 ジャニーズ問題も経て変わりゆく「日本企業の対応」
関係各社への配慮としては、活動休止は適切な判断であると言える。また、こうした問題が発生した場合、下記の3点を並行して対応する必要がある
① 事象それ自体への対応(今回の場合は、文春・告発者との向き合い)
② ビジネス面での対応(特に取引先との関係維持)
③ 広報対応(メディアやSNSの炎上への対応)
芸能人の場合、特に松本氏のような大物となると、メディアの注目度も高く、③が非常に重要になるし、これを誤ると②にも大きく影響してしまう。いったん、活動を休止して、①に注力することで、ビジネス機会は失うが、②、③の部分の対応も最低限に抑えることができる。
ただ、気になる点もある。松本氏がX(旧Twitter)アカウントで直近まで情報発信を続けていたことだ。
活動休止を発表する直前には、会合の仲介者だと報道されているスピードワゴン小沢一敬氏に告発者が送ったとされるLINEのやりとりのキャプチャ画像を「とうとう出たね。。。」というコメントと合わせて投稿。活動休止公表の同日と翌日にも、フジテレビ系列の「ワイドナショー」に出演することを告知している。
上記の投稿は、メディアでも報道されたほか、SNS上でも賛否両論の物議を醸すに至っている。1月13日時点ではそれ以降の投稿はないし、「ワイドナショー」への出演も取りやめとなっている。
松本氏にはいろいろと言いたいことはあるのだろうが、活動休止を表明したのであれば、それ以降はSNSの投稿を控えるのが望ましい。これではアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、活動休止の効果が薄れてしまう。
なぜ吉本・松本氏は記者会見をしないのか?
吉本興業、あるいは松本氏が記者会見を行わないことに対して批判もある。直近で見る限り、記者会見が開かれそうな気配はないし、当面は開かれることもないと思われる。
もちろん、松本氏が主張するように、文春の報道が「事実無根」なのであれば、記者会見を開いて堂々と主張すればよい。
しかし、今回の場合は争点となる「事実」の範囲が曖昧だ。性加害が行われたと報道されている飲み会について「事実」のレベルはいくつかある。
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