日本製鉄、剛腕トップが新社長に託したミッション 脱炭素とグローバル化で狙うのは総合力世界一
国内鉄鋼最大手の日本製鉄は1月12日、社長交代を発表した。4月1日付で社長の橋本英二氏(68)が会長兼CEO(最高経営責任者)に、副社長の今井正氏(60)が社長兼COO(最高執行責任者)に就く。
「2019年4月に社長に就任して、何はともあれ収益力の抜本的な立て直しを公約に掲げた。ソフトとハードのいろんな改革をやった。ビジネスの環境そのものは2019年4月より悪くなっているが、収益力はまずまずまで来た。もう一段高みを目指す発射台を作ることができた」
記者会見で橋本氏はそう振り返った。
旧新日本製鉄出身者として初の「技術系社長」
2020年3月期、同社史上過去最悪となる4315億円の最終赤字を計上した日本製鉄。橋本氏は、製鉄所のシンボルともいえる高炉4基を休止(さらに1基休止を決定済み)、広島県の製鉄所閉鎖を含む国内事業の構造改革を進めてきた。
営業面では、自動車メーカーなど国内の大口顧客に対する「ひも付き価格」の交渉で、供給削減も辞さない剛腕で値上げを勝ち取り、業績をV字回復してみせた。
その橋本氏が「私をはるかにしのぐ知力、胆力の持ち主」と評する今井氏。東京大学大院で金属工学専攻修士課程を修了、マサチューセッツ工科大学大学院の材料工学博士号を持っており、旧新日本製鉄出身者として初の「技術系社長」となる。
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