日本製鉄、剛腕トップが新社長に託したミッション 脱炭素とグローバル化で狙うのは総合力世界一
製鉄所の生産技術に強く、名古屋製鉄所所長を務めたほか、常務として国内生産改革の具体的な絵を描いた。
「従業員に負担を強いるとか、地域社会へ影響を与えるとか、それらを踏み越えてやるべきことは何か、まずそれをいちばんに考えた計画を立案した」(今井氏)。現在は脱炭素や電炉転換プロジェクトのリーダーも務める。
今井氏のミッションは、「最大のテーマ」(橋本氏)である脱炭素に道筋をつけることだ。日本全体の約14%、国内産業部門で最大のCO2(二酸化炭素)排出源である鉄鋼産業にとって脱炭素は最重要かつ最も難しい課題だ。対応できなければ事業の存続さえ許されなくなる可能性がある。
脱炭素について、今井氏はまず「(北九州市の)八幡と(兵庫県姫路市の)広畑での電炉建設をどう進めていくかが課題だ。技術的な検討は詰まってきており、巨額の投資判断の経済性が最大のカギになる」と述べた。
さらに、この2カ所の電炉転換のメドを2030年とする一方、技術的・経済的なハードルが高い高炉での水素還元は2040年以降を目指し開発を進める考えを示した。
USスチール買収に自信
脱炭素とともにテーマとなるのがグローバル化の推進だ。
日本製鉄は、顧客である日本メーカーの海外進出に応じる形での海外展開を進めてきたが、「『客を追って』というのは本当の意味での海外展開ではない」(橋本氏)。
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