日本製鉄、剛腕トップが新社長に託したミッション 脱炭素とグローバル化で狙うのは総合力世界一

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橋本体制では、2019年に欧州アルセロール・ミタルとの合弁でインド鉄鋼大手を7700億円で買収。2022年には日本製鉄単独でタイの電炉メーカーを買収したほか、昨年12月にはアメリカの老舗鉄鋼メーカー、USスチールを2兆円で買収することも決めている。

ただ、USスチール買収は全米鉄鋼労働組合(USW)や一部の政治家が反対しており、関係当局の承認取得など先行きを見通せない状況だ。そのような懸念に対し、橋本氏は次のように自信を示した。

「(日本製鉄には)技術の優位性があり、100%子会社なら技術を全部出せる。お金も持っていく。組合との関係はUSスチールが結んでいる労働協約を100%守る。(日本製鉄は)アメリカにほとんど輸出していないので市場占有率も高まらない。アメリカにとってマイナスはない」

「経営責任を引き続き全うする」

USスチールを含めた海外の大型投資にメドをつけるまでは、CEOとして橋本氏が「経営責任を引き続き全うする」ことになるようだ。

日本製鉄が掲げる「総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー」の目標。橋本氏は5年間で設計図を描いてみせた。「実際に完成させて名実ともに日本製鉄を総合力世界ナンバーワンにするのが務め」と今井氏は話した。

「剛腕」と呼ばれる橋本氏と「技術系」の今井氏。まずは二人三脚で目標に向かって歩を進めることになる。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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