幸楽苑と日高屋、なぜ明暗が分かれたのか 「290円ラーメン中止」の本質

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ハイデイ日高は看板にも記している「390円 税込」という低価格のラーメン(中華そば)を看板商品としながらも、この局面で業績を伸ばしている。直近決算の2015年2月期の売上高は344億円と、規模こそ幸楽苑を約30億円下回るものの前年からの増加率は7%。営業利益は40億円と同8%の増益で、幸楽苑に約5倍の差をつけているのだ。営業利益率の差はいうまでもない。

2社の違いはどこにあるのか。

1店舗当たりの売り上げという観点でみると、幸楽苑はすでにハイデイ日高に抜かれている。前年度の年間平均を計算すれば幸楽苑は約7500万円。対するハイデイ日高は約9700万円と約30%の開きがある。1店舗当たりの営業利益になるとさらに差は大きい。幸楽苑は161万円。ハイデイ日高は1147万円と、7倍強にまで広がる。

コスト面でみるとどうか。売上高に占める「売上原価」「販売費及び一般管理費」を経費率と定義してみよう。店舗によらない本部コスト(人事・総務・経理・内部監査部門などのコスト)や研究開発費なども販売費及び一般管理費には含まれるが、ここでは無視した。

そうすると幸楽苑の経費率は97.8%、ハイデイ日高は88.2%だ。ハイデイ日高のほうが1店舗当たりの売り上げが大きく、かつコストも低い。人件費の観点でみるとパート・アルバイト比率の違いが関係しているようだ。

日高屋はアルコール販売が得意

幸楽苑、日高屋ともにラーメンやギョーザを中心に、からあげや枝豆などもある。似たようなメニュー構成ながら違うのは、日高屋が好採算であるアルコールの販売を得意としていること。「ちょい飲み」の需要を獲得しているのだ。特にビール以外のアルコール飲料は原価率がかなり低い。最近ブームのハイボールは原価率が低く、飲食店の収益に大きく貢献している実態がある。

2社で大きく異なるのは店舗の立地戦略だ。幸楽苑は、北は北海道から西は岡山まで大都市から地方までをカバーする。ハイデイ日高は、関東それも首都圏に集中している。違いは、それだけではない。

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