米国農地バブルを検証する[上]--福島原発事故でバブルが加速? 背景にエタノール需要増や天然ガス探索ブームも

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


専門家による農地価格の詳細な調査によると、2つの重なったトレンドが土地ブームを煽っているという。新興途上国でたんぱく質の豊富な牛肉や羊肉の消費量が増えており、その結果、大豆など動物の飼料になる米国産穀物の需要を高めている。

一方、多くの米国農家は、再生可能なバイオ燃料の利用を2022までに毎年360億ガロン(約1363億リットル)増やすという米国議会の方針の恩恵を受けている。米国で生産されるトウモロコシの40%近くはバイオ燃料用に回るという。このことが、トウモロコシ価格が10年6月から12月の間に73%も上昇した理由の1つに数えられる。

穀物価格が上がり、金利が低いと、多くの農家は大量の借金をして土地を追加的に買いあさろうとする。ところが、穀物価格が下がり、金利が上昇すると、農家の所得は減り、その結果、デフォルト(借金返済不能)が増え金融混乱を誘発することになる。

天然ガス・コネクション

未開発の広大な天然ガス田のある土地の探索が、ペンシルベニア州西部地域やニューヨーク州北部地域で大々的に始まっている。地元の政府はこうした探索などの手続きに必要な法的規制策定を急いでいるが、それが間に合わないほどのペースで探索活動が行われている。

この動きは、福島原発事故以来、加速している。原子力エネルギーの社会的・経済的コストの高さと安全性への不安の声が高まるにつれ、原発を利用している大手電力会社エクセロンCEOのジョン・ロウなど、大物の業界人が次々と原子力に対する天然ガスの優位性を強調するようになっている。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事