全国に名車続々登場、「私鉄特急」黄金期の記憶 近鉄「ビスタカーⅡ世」や東武DRCなどの勇姿
近鉄が誇った2階建て特急車
近鉄は1958年に、2階建て電車の試作的な車両として10000系を製造した。いわゆる初代の「ビスタカー」で、7両編成1本だけが造られ、大阪と伊勢を結ぶ「阪伊特急」に投入した。残念ながら当時私はまだ小学生で、実物を見ても乗ってもいない。
この時代、近鉄は大阪線が標準軌、名古屋線が狭軌と軌間が異なり、名阪特急は伊勢中川で乗り換えを強いられていた。ところが10000系の登場翌年、1959年9月に東海地方を襲った伊勢湾台風によって名古屋線は壊滅的な被害を受けた。近鉄は予定していた名古屋線の改軌を前倒しし、標準軌で復旧することを決断。軌間を統一することで名阪間の直通運転を実現した。
その際に登場したのが10100系ビスタカーで、1959年12月に改軌が完了するとともに名阪ノンストップ特急として運転を開始した。近鉄は10100系を「新ビスタカー」と呼んでいるが、ファンには「ビスタⅡ世」や「ビスタカーⅡ世」の名で親しまれている。


















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