マグロ初競りで高額だった年の「株価のジンクス」 マグロの初競りが持つもうひとつの意味

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なぜ、マグロの初競りには、このような株価のジンクスがあるのでしょうか。よく言われる話ですが、マグロの初競りは新年の縁起物ですし、今年1年の景気を占ううえで注目されて「ご祝儀」の意味合いが強いものです。こうした観点は、株式市場の大発会のご祝儀相場と同じような趣旨を持ってはいます。

マグロの初競りが持つもうひとつの意味

しかし、マグロの初競りは、それ以外の意味があります。競り落とした会社やお店などには大きな宣伝効果を持つからです。寿司チェーンの運営会社がマグロを高額で競り落とした、というニュースを見たことのある読者もいらっしゃるでしょう。「お客様が喜んでもらえるネタを出してくれるお店」としてのイメージが定着することはお店にとって大きなメリットです。

そして高額な金額で競り落とすということは、それだけ、宣伝のための出費に余裕がある会社があるわけですし、将来の宣伝効果にも期待できる経済環境が整っていると見られているからこそです。例えば、コロナ禍のような厳しい消費環境では、高額な金額で競り落としても、なかなかお客さんが集まらないため、宣伝に対する効果も見込みにくいでしょう。

個人の消費の盛り上がりが期待できる経済環境のなかで、宣伝のためにお金を費やす余裕のある企業が多いという2つの条件があわさってこそ、初競りの値段が上がるのです。

このような環境で、株式市場も好調に推移するということです。新年も年末に向けて好調な相場が期待されます。

吉野 貴晶 マネックス証券チーフ・マーケット・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ 投資工学研究学長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、国内系運用会社で投資工学開発センター長を経て、現職。社会人として歩みを始めて以来、一貫してクオンツ計量分析、データサイエンス、AI(人工知能)を活用した証券市場の分析に携わる。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(青山ビジネススクール)にて客員教授、学術フロンティア・センター特別研究員。経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。博士(システムズ・マネジメント)。日本ファイナンス学会理事、日本金融・証券計量・工学学会(JAFEE)理事。2025年9月より現職。

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