ロボットタクシー、「2020年実現」に挑むワケ DeNAとZMPの合弁は起爆剤となるか
一方、米グーグルが進める自動運転は、DeNAとZMPが事業化をにらむ「レベル4」のフェーズに位置する。「グーグルカー」にはハンドルもアクセルもブレーキもなく、ネットワークに接続して完全な自律運転車を実現する。米国カリフォルニア州の公道での試験は、多額の保険金をかけた上でドライバーが同乗して行われている。
ZMPも愛知県での公道実験に成功している。ロボットタクシーについて、2月の検討会で小泉政務官は「日本は本当にチャンスが10あってもリスクを1見たときに、その10を全部捨てる環境がある。何とかそれを突破して、できたという結果を作りたい」とし、平将明内閣府副大臣も「現地(での取り組み)を見たいと思う。私か小泉さんがぜひ行きたい」と前向きな発言をしていた。
谷口氏が「今年の秋口には特定した場所で(無人運転が)認められないと、オリンピックまでに間に合わない」と強気な姿勢を隠さないのも、こうした国の反応を受けてのことだろう。
スピード感にチャンスあり?
もっとも、5月の会見では正式なサービス開始時期を「未定」としており、谷口氏の言う「2020年の実現」は、スピード感を重視した"大目標”といえる。
中島氏はロボットタクシー実現に向けた最大のハードルに、「法令と規制、さらには社会受容性」を挙げる。今後は技術開発と並行して、自動運転が可能なエリアやルートなどがどこまで整備されるかが実現のカギとなりそうだ。
ロボットタクシーの取り組みについて「現状のタクシーは公共の交通機関よりもフレキシビリティが高い点が魅力だが、その利便性を自動運転タクシーでどう担保できるか興味がある」(J.D.パワーアジアパシフィックの川橋敦シニアディレクター)という見方もある。
仮に公道でロボットタクシーが走行可能になっても、専用レーンや一部公道に限られるならば、路線バスと利便性は変わらない。そうすると、運転支援システムをベースに自動運転を発展させている自動車メーカー勢が優勢にも映る。ただ、前出の川橋氏は「自動車業界は関係者が多ければ多いほど、動きにくくなる。DeNAとZMPはベンチャーならではのスピード感が強み。そこにチャンスがある」とも分析する。
合弁会社では提携先を広く募る方針で、「自動車業界周辺だけでなく、インフラや配車アプリなど、国内外問わず広く検討したい」(中島氏)。新会社は資本金7億円で発足したが、ほかからの出資も柔軟に考えるという。未来の自動運転車を制するのは、自動車メーカーなのかグーグルか、ベンチャーなのか。それとも、業種の垣根を越えた融合がいっそう進んでいるのだろうか。
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