これがアップル音楽配信サービスの全容だ! 8日の年次開発者会議で発表予定の「目玉」
ラジオ配信は、iTunesラジオの改良版(最大のライバルはパンドラだ)と、従来のラジオ局に似た「連続した」プログラムの2本立てになると見られる。ドレイクやファレル・ウィリアムスなど有名アーティストと契約しており、プレイリストの作成や番組のホストに起用する計画だ。英BBCラジオの人気DJだったゼイン・ロウもアップルに移籍した。
音楽業界の幹部によると、アップルはiTunesラジオと新しいラジオサービス──コードネームは「ビーツ・ワン」──のライセンス契約を個別に交渉しており、2つの内容がかなり異なる可能性もあるという。新しいラジオサービスの立ち上げには、iTunesを束ねるアップルのエディ・キュー副社長のもと、昨年アップルが30億ドルでビーツ・ミュージックを買収したのに伴って入社したジミー・アイオヴォンとトレント・レズナーも加わっている。
ストリーミング市場を活性化できるか
音楽は、アップルがスティーブ・ジョブズ時代に復活を果たした重要な要因だが、会社の事業全体に音楽の売り上げが占める割合は小さくなる一方だ。ストリーミング配信サービスが成功しても、アップルにとって音楽がもたらす経済的機会はごく小さいと、アナリストは見る。定額配信サービスがレコード業界にもたらした卸売収益は、昨年は全世界で16億ドル。アップル全体の昨年度の売り上げは1830億ドルだった。
一方で、アップルの参入が音楽のストリーミング配信を主流に押し上げるという期待もある。
「ストリーミング配信にとって最大の課題のひとつは、消費者の理解が進んでいないことだ」と、全世界で600万人の有料会員を擁するディーザーのハンス・ホルガー・アルブレヒトCEOは言う。「アップルのような会社が参入すれば消費者が洗練され、市場の将来性が高まるだろう」。
もっとも、アップルのひとり勝ちが保証されているわけではない。実際、同社の最近の音楽プロジェクトは、すべて成功しているわけではない。iTunesラジオはパンドラに大きく引き離されている。iTunesで提供していた音楽ソーシャルネットワーク機能のPingは、2010年のサービス開始から2年で終了した。
それでもアップルの巨大な顧客基盤を考えれば、音楽サービスの有料会員は数年間で1億人を「あっさり」超えるだろうと、アナリストのドーソンは見る。「きれいにまとめられた音楽アプリに喜んでカネを払う人たちだ」。
(執筆:BEN SISARIO、翻訳:矢羽野薫)
(C) 2015 New York Times News Service
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