政争の続くタイで7月3日に総選挙実施--日本人駐在員やその家族の安全をいかに確保するか?
タイ国内の政治・経済ニュースを日本語のPDFにして会員企業にeメールで配信する有料紙「日刊タイビジネス」の井口達朗編集長は、「タイ貢献党が政権を奪取したが、08年12月に選挙違反により憲法裁判所から解党を命じられた時のように、何らかの理由で政権を維持できないことを余儀なくされた場合は、UDDが激しく動くことが考えられる」という。
一方で、6月14日には、民主党のアピシット首相が、「タクシン元首相の恩赦を計画するタイ貢献党が政権を獲得した場合は政情不安が再燃する」との見方を示したことが報道された。タイ貢献党が政権を奪取した場合には、06年9月のように「クーデターもありうる」との憶測もある。
国民の大半が望んだ選挙の結果は「国民の総意」といえるはずだが、選挙後の「何か」を絵空事と一笑に付すことはできないのが、今のタイの政治状況なのだ。
あらかじめ国外脱出ルートを確認
在留邦人の援護を担当する在タイ日本国大使館の中西正人二等書記官兼領事は「イスラム圏で発生しているテロと違い、無差別殺傷が起こるとは考えにくいが、大使館からのお知らせ情報も含め、日頃から情報収集を絶やさないようにして危険を察知するようにしてほしい」という。
1317社の会員企業から成る盤谷日本人商工会議所(JCC)は、「職員には情報収集の一方で、群衆には近づかないといったことを指示している。会員企業は選挙に関連した相談など何かあれば事務局まで連絡いただきたい」(石井信行JCC事務局長)。