政争の続くタイで7月3日に総選挙実施--日本人駐在員やその家族の安全をいかに確保するか?

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実際、与党・民主党の党首でもあるアピシット首相がタクシン派・UDDの地盤であるイサン(東北部)で遊説しても、今のところは、罵声を浴びせられることはあっても、何ら事件は発生していない。立候補者たちの多くが「“殺し屋”の恐怖を感じている」というニュースもあるが、それは今回の選挙戦に限ったことではない。

08年11月、当時のタクシン派政権に抗議してスワンナプーム国際空港を不法占拠し、観光業に大打撃を与えたことがある反タクシン派の民主化市民連合(PAD、黄シャツグループ)も、無効票投票を呼びかけているが、直接的な妨害行為には出ていない。

「デモ集会等の抑止および規制などを目的として適用されていた国内治安維持法も解除されており、今のタイは平常時といえる。今回の選挙はそれまでの政治的対立とは違い、民主主義のルールにのっとった競争」(岩崎政務参事官)。

ただし、選挙後には「何か」が起こる可能性が十分ある。

これまでの報道では、与党・民主党とタクシン派の最大野党・タイ貢献党が激しく争う展開になると予想されている。各世論調査では、タクシン元首相の実妹・インラック氏を首相候補として擁立したタイ貢献党が優勢。だが、そのタイ貢献党も国会議席(定数500)の過半数には届かず、連立政権になる可能性が高いとみられる。

「接戦の末、タイ貢献党が最大議席を獲得したが、民主党が連立政権を誕生させた場合は、UDDが再び抗議活動を行う可能性もある」(岩崎政務参事官)。

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