「しくじり議長」復権、米国株は2024年も上昇する FRBの利下げ幅は年間どれくらいになるのか

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これは一見、FOMC後のパウエル議長の発言とは異なるように見える。ただ、実際には、この発言は、利下げについて「踏み込んだ議論」にはまだ至っていないとの意味合いだろう。

そもそもFOMCでは利下げが議題に挙がったのがほぼ初めてなのだから、メンバーが政策金利見通しを述べるにとどまったというのが実情ではないか。実際に、パウエル議長も、利下げについては「議論は初期の段階にある」と述べた。パウエル議長とNY連銀総裁の意見が異なるというわけではなく、利下げに関する具体的な議論が、今後進んでいくのだろう。

なぜFRBは急に態度を変えたのか?

では、なぜFRB内部での金融政策についての認識が、1カ月余りで大きく変わったのか。アメリカ経済は緩やかな減速が続いているが、経済活動の変調を示す材料は少なかった。例えば労働市場においては、非農業部門の雇用者数は毎月約20万人ずつ増え続けており、2023年の年末商戦の試金石だった11月小売売上高は底堅い伸びを示した。依然として、経済変調への警戒は、ほとんど高まっていない。

結局のところ、「インフレ鎮静化が順調に進んでいる」との認識が強まったことが、FRBの政策転換の主たる理由とみられる。この間、特に消費者物価指数(CPI)の減速の理由について、筆者には、単月の一部品目の下振れが大きく影響していたように見えたのだが、実際、直近発表された11月分CPIをみると、特に財価格において価格抑制が広がっていることが示された。

なお、同国のCPIコア指数(食品とエネルギーを除いて算出)は直近11月分でも前年同月比+4%となっており、このベースでみると目標である2%にはかなり距離があるように見える。

一方で、FRBが目標の参照とするPCE(個人消費支出)コア指数(食品とエネルギーを除いて算出)の直近11月分の統計は、半年前比の年率換算で1.9%台まで低下している。

FRBには2021年半ばからの高インフレの初期兆候を軽視したことがインフレ高進を招いたとの反省がある。「最近見られ始めたインフレ減速の兆候に迅速に対応する必要がある」との認識が、FRBによる素早い政策姿勢転換を促した、と筆者は見ている。

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