「発達障害の子ども」に世界はどう見えているのか 「家・学校・社会」の3シーンから当事者の知覚世界をひもとく
確実に言えるのは、
・LDは家庭でのしつけや育て方が原因ではないということ
・お子さんのやる気や努力の問題でもないということ
です。
お子さんがLDかどうかを診断するのはなかなか難しくはあるのですが、それでも「もしかしたらLDなのかもしれない」と感じた時点で、一度専門医に診てもらうことをおすすめします。
LDの場合、苦手を補う工夫や配慮は数多くあります。我が子にLDの症状があると理解していれば、家庭で補う方法はありますし、学校や周囲の人たちに配慮や協力を呼びかけることもできます。
心配なのは、お子さんがLDなのに、親御さんを初め周囲の大人が障害を理解せず、
「なぜこんな簡単なこともできないんだ!」
「努力が足りないんだ!」
などと叱責してしまうことです。
そんなことをすれば、お子さんは深く傷つき、心身の健康の悪化にもつながります。何より大切なのは、身近な大人たちの「お子さんの症状に対する理解」です。
ADHDの子どもたちが「家」で見ている世界
ADHDは、日本語で「注意欠如多動性障害」と書くとおり、大きな症状としては「不注意」と「多動・衝動性」の2つが挙げられます。
家、学校、社会、いずれの場においても、この2つが代表的な悩み・問題となっています。
ここではまず、「家」にフォーカスして見ていきましょう。乳児の時期に「うちの子はADHDでは?」と気づくのは、なかなか難しいものがあります。ただ、乳児の段階からいくつかの特徴が見られる場合があります。
1つは、刺激に敏感であるという特徴です。
音や光などの環境によって混乱しやすい傾向が見られます。たとえば、音のうるさい場所、強い光を放つ場所などでは寝られなかったり、かんしゃくを起こしたり、泣いてしまったりすることが起こります。
「外出先、宿泊先では全然寝られない」といった場合、お子さんがいつもとは違う刺激を嫌がっているのかもしれません。そして、刺激に対する拒否反応が多動・衝動性につながっている可能性があります。
さらに、動きが多い、睡眠時間が短い、よく泣きわめくといった特徴も、乳児の段階で見られることがあります。
歩けるようになると、自分自身の活動域も広がります。大人の許可を得ず、興味・関心のあるものに惹かれて、そちらの方へ1人で行ってしまうということが起こるのです。