鳥取、赤字ローカル線にも「成長余地」はあるのか 地方都市で鉄道が果たす役目はまだまだ大きい

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ここには1989年にまちびらきした「鳥取新都市」というニュータウンが広がっており、国土交通省の都市景観大賞「都市景観100選」に選定されている。街並みは上質で、商店のほか企業や大学もあるなど充実している。

ところが若葉台の脇を因美線が走っているのに駅はない。以前設置の動きがあったものの立ち消えになったというが、現在は路線バスと大学のスクールバスが合わせて1日約30往復走っているので、新駅設置の価値はあるはずだ。

鉄道が果たす役目は大きい

JR西日本では、高山本線の婦中鵜坂駅が、やはり周辺に住宅地が広がっており企業もあることから、富山市が新駅設置と増発の社会実験を行い、利用者が増えたことから駅が常設になったという実例がある。

山陰本線の普通列車
山陰本線の普通列車(筆者撮影)

サービスではハード・ソフト両面での快適装備に気を配ってもらいたい。JRの在来線は高速バスと時間や運賃で競合している地域がいくつかあるが、バスは座席のリクライニングが可能でWi-Fiがついているなど、この面で上を行くことが多い。

鳥取市周辺の高速道路や自動車専用道路はすべて片側1車線の対面通行なので、速達性では鉄道が有利だが、今後道路整備が進むことも考えられるので、快適装備は大事だと考えている。

少し前まで赤字ローカル線の代替手段だったバスは、いまや運転士不足で対応が難しいし、運転免許を返納した高齢者にとって大切な着座定員において、鉄道はバスを大きく上回る。社会において鉄道が果たす役目はまだまだ大きい。だからこそ今あるレールを有効活用してほしいと思っている。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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