JR九州「ひこぼしライン」には誰が乗っているのか 「日田彦山線BRT」、実際に乗車して確かめた

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積み上げた石垣と黄金色の稲が美しい日本棚田百選の地を見下ろして旧鉄道橋を渡るBRT車両が走ることで今も“一幅の絵”になっている(筑前岩屋―大行事間、写真:久保田 敦)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2023年12月号「日田彦山線BRT ひこぼしラインは鉄道に代わるか」を再構成した記事を掲載します。

2023年8月28日、日田彦山線BRT「ひこぼしライン」が開業した。BRTはBus Rapid Transit(バス高速輸送システム)の略である。JR九州日田彦山線(城野―夜明間)のうち福岡大分県境を介した添田―夜明間に、久大本線部分の夜明―日田間を加えた添田―日田間約40kmの路線とした。そしてこのうち、彦山―宝珠山間約14kmが元の日田彦山線の線路敷を活用したBRT専用道区間とされ、前後の添田―彦山間と宝珠山―日田間が一般道区間となっている。

地元の熱望で宝珠山まで延長された専用道

ことの起こりは2017年7月5〜6日にかけて発生した九州北部豪雨だ。日田彦山線では計63カ所で鉄橋流失、橋脚の傾斜、路盤崩壊、土砂流入、駅舎倒壊などの被害が発生した。不通になった添田―夜明間(鉄道で29.2km)は、地元は当初、鉄道の復旧を熱望した。だが、復旧に約56億円かかるとの試算に加え、もともとJR九州ワーストクラスの閑散区間(2016年度の平均通過人員299人/日)のため鉄道で存続すると年間2億6千万円の赤字で、維持には同1億6千万円程度の収支改善が必要とされた。そのため、JR九州は路線存続後の維持費負担を地元に求めた。協議は3年にわたる。結果、鉄道での復旧は断念され、2020年7月、福岡・大分両県、3市町村(福岡県添田町、東峰村、大分県日田市)とJR九州の間で、BRTに転換して路線を維持することで合意された。

専用道は当初、破格の長さの釈迦岳トンネル(4379m)を介する彦山―筑前岩屋間だけとする案であった。だが、沿線で最も強く鉄道にこだわった東峰村の要望から、区間は2駅分延ばされ宝珠山駅までとなった。

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