鳥取、赤字ローカル線にも「成長余地」はあるのか 地方都市で鉄道が果たす役目はまだまだ大きい
鳥取駅は山陰本線が東西に貫き、因美線が岡山県の東津山駅と同駅を結んでいる。このうち輸送密度2000人以下となっているのは山陰本線の鳥取駅より東側、兵庫県の浜坂駅までの区間で、2022年度は768人だ。残る山陰本線の西側、具体的には鳥取県内の鳥取―米子間、因美線智頭―鳥取間はともに2000人を上回っている。
鳥取駅に接続する3線区の中で、山陰本線の東側だけが少ないのは、地域間を結ぶ特急列車が少ないことが大きい。
鳥取市と関西を結ぶ特急列車は、昔は山陰本線経由だった。しかし現在は、兵庫県の山陽本線上郡駅と因美線智頭駅を結ぶ第3セクター智頭急行経由の「スーパーはくと」が主役で、1日6往復走っている。さらに因美線・智頭急行には岡山へ向かう「スーパーいなば」も6往復ある。一方で鳥取駅から東へ向かう山陰本線の特急は、播但線経由の「はまかぜ」3往復のうち1往復にすぎない。
鳥取駅には特急が次々と発着
鳥取駅から西へも、山陰地方の主要都市を結ぶ特急「スーパーまつかぜ」が7往復、「スーパーおき」2往復が運転されているうえに、スーパーはくとの5往復は倉吉駅まで行くので、本数で言えば因美線を上回る。
よって鳥取駅のホームにいると、次々に特急が発着するシーンを見ることになる。しかも相応に利用者がいる。彼らが鉄道を選ぶ理由はスピードが大きいだろう。
大阪―鳥取間の所要時間は約2時間30分で、高速バスより30分ほど速く、飛行機は撤退してしまったし、鳥取―米子間は約1時間で、高速バスはなく、マイカー移動ではおよそ30分余計にかかるからだ。
智頭急行の最高速度は山陽本線と同じ時速130kmであり、山陰本線鳥取―米子間、因美線智頭―鳥取間も高速化事業の結果、前者は時速120km、後者は津ノ井ー鳥取間で110km走行が可能だ。
鉄道事業者と自治体などの共同出資によるこうした高速化は、他の地域でも都市間輸送でのバスやマイカーへの対抗策として有効ではないかと思った。
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