日本製鉄、株価軟調が示す割安株脱却への険路 大型買収に伴う不透明感が嫌気され株価が軟調
日本製鉄の株価は、米鉄鋼大手USスチールの買収計画を発表して以降、大型買収に伴う不透明感が嫌気され軟調だ。こうした動きは、鉄鋼などのオールドエコノミー企業が企業価値を高めていく道のりが平たんではないことを示しているといえそうだ。
日本製鉄株は18日夜の買収案発表以降、2日間で1.2%下落。東証株価指数(TOPIX)の騰落率を2.5ポイント下回った。
投資家が持つ不安感
投資家の懸念の一つは、日本製鉄が約2兆円という巨額の買収資金を手当てするために、新株を発行する必要に迫られ1株当たりの利益が希薄化することだ。日本製鉄は買収資金を借り入れで賄うとしているものの、2兆円の負債増は信用格付けの引き下げを招きかねないことから、いずれ増資が必要になるとの不安感が投資家の間では根強い。
また、身売りしていたUSスチールに日本製鉄が提示した買収額は、8月に同業のクリーブランド・クリフスが提示した金額のほぼ倍で、割高な買収という懸念もつきまとう。さらに、今回の買収案に対してUSスチール労組や米政界が反発、買収が一筋縄では進まない可能性も高い。
これを反映してUSスチール株は、買収提案発表直後こそ大幅に上昇したものの、その後は下落基調となり、直近では日本製鉄の買収価格を13%も下回っている。