事例解説「安心な職場環境」怠った企業の"その後" 法規制違反・訴訟リスクに直面する可能性も

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ちなみに、主要なサステナビリティ基準であるSASBスタンダードでは、労災事故と、元従業員・現従業員における珪肺(けいはい)症の報告症例数の開示を求めていることが特徴的です。

事例:シリカへの職業曝露、2019年に世界で6万5000人超の死亡推計※


シリカ(ケイ素を構成元素として含んだ物質)への職業曝露は、金属、非金属や炭鉱・精製所、花崗岩の採掘・加工現場、水圧破砕作業、採石業、鋳物工場、セラミックスやサンドブラスト作業など、幅広い加工・建設現場で多く生じています。シリカを吸入すると、さまざまな肺に関連した疾病を引き起こし、また、IARC(国際がん研究機関)は、結晶質シリカが肺がんを引き起こすという十分な証拠があると結論づけています。曝露は、微粒子シリカ粉じんの沈着によって生じる、長期進行性の肺疾患「珪肺」の原因にもなるとされています。

アメリカでは約230万人、欧州で300万~500万人、日本で50万人、中国で230万人以上、インドで1100万人、南アフリカで600万人以上の労働者が、シリカに職業曝露していると推計されています。
※出所:OSHRC(全国労働安全衛生センター連絡会議)「ILO:労働における有害な化学物質への曝露と結果としての健康影響:グローバルレビュー(2021.5.7) 知見の概要:シリカ」

労働力不足が深刻化する小売・流通業

食品小売・流通業者の企業は、社会構造変化や消費行動の変化を的確に捉え、品揃え・サービスの拡充、適切な商品・サービス構成、売場レイアウトの刷新などにより、多様化するニーズへの対応と地域社会に対する利便性の向上に貢献しています。

近年では、デジタルを活用し、非接触による無人決済、ネット配送サービスなど付加価値提供の拡充を目指しています。

一方、飲食料品卸売業・小売業は全産業平均と比較し、勤務時間が長く、年間休日総数が少ないことが指摘されています。また、飲食料品小売業における、女性の就業比率、非正規の職員・従業員の割合が非常に高いことも示されています。

労働力不足・長時間労働が深刻化するなか、特にデジタル・情報技術の活用を通じた生産性向上が期待されています。

事例:長時間労働めぐる訴訟で元従業員と和解※


大手コンビニエンスストアチェーンのフランチャイズ(FC)加盟店で働いていた元従業員の男性が、大阪府内の加盟店の店主から長時間労働をさせられたり、日常的に暴行や暴言などのパワハラを受けたりしたと主張。2021年6月に大阪地裁でこの問題は和解となり、同社本部が男性に解決金を支払うことなどに合意しました。

※出所:朝日新聞DIGITAL「ローソン本部と元従業員が和解 長時間労働めぐる訴訟

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