パッケージ基板は、市場全体でみれば台湾や韓国のメーカーの存在感が強い分野。だが主要顧客がインテルやAMDであることからもわかるように、新光電工はパソコンやサーバーに使われる高性能な半導体向けのパッケージ基板に強いのが特徴だ。
代表的な製品は「フリップチップ」と呼ばれるタイプのパッケージ基板。その名のとおり半導体チップの表面と裏面を「フリップ(反転)」して基板に接続するもので技術的な難易度が高い。そのため付加価値もつけやすく、同社のパッケージ部門売上高の6〜7割をこのタイプの製品が占める。
岐阜県に本社を置くイビデンと並び、フリップチップでは世界でトップ級のポジションにある。
業績は厳しいが強気の設備投資
新光電工の業績は、2010年代を通じて売上高1400億円前後、純利益は数十億円規模で推移し停滞。2006年度に任天堂の「Wii」やソニーの「PlayStation 3」のヒットによってたたき出した、192億円という最高純益に遠く及ばない時期が続いた。
だが、コロナ禍での巣ごもりを受けたパソコン特需やサーバー投資の増大で、業績は一気に急拡大。2021年度以降の2年は純利益が500億円超と、2006年度の最高益を凌駕する好業績を謳歌した。
2023年度はそのコロナ特需の反動で減収減益を見込むものの、将来需要を見据えた設備投資の姿勢はあくまで強気だ。
計画している設備投資額は売上高の33%に当たる764億円。当初予定していた1135億円から引き下げたが、それでも前年度比でおよそ3倍という水準だ。
この11月には長野県千曲市で建設していた高性能半導体向けパッケージ基板の新工場が竣工、来年度から稼働が始まる見込みだ。同工場ではさらに533億円を投じて新棟を追加建設することを決めており、経済産業省から178億円の補助を受けることになっている。
投資攻勢を続けられるのは、高性能半導体の分野で今後、パッケージ基板の需要がさらに高まっていくのはほぼ間違いないと見られているからだ。
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