どこまで進んだ?多摩モノレール「町田延伸」の今 J1昇格「町田ゼルビア」本拠地アクセスも改善か

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町田市は人口約43万人。東京都南部の住宅地として発展し、市の玄関口である小田急線町田駅の1日平均乗降人員は約24万6000人(2022年度)で、小田急全線で新宿に次いで2番目に多い。

市の交通のネックは鉄道が市内中央部を通っておらず、駅が外縁部にあることだ。町田(小田急線・JR横浜線)のほか、玉川学園前、鶴川(小田急線)、相原、成瀬(JR横浜線)、多摩境(京王相模原線)、すずかけ台、つくし野、南町田グランベリーパーク(東急田園都市線)と4路線計10駅があるが、その多くは市の端に位置している。

市内には町田山崎団地、木曽住宅、境川団地、小山田桜台団地など1960~1980年代にかけて整備された大型の住宅団地があるものの、いずれも駅から離れており、交通アクセスは町田駅などからのバスが主体だ。バスは路線も利用者数も多く、例えば山崎団地の拠点である山崎団地センターから小田急町田駅前の町田バスセンターへは、車体を2つつないだ連節バスによる急行便など複数系統を合わせて平日7時台は十数本と頻発しているが、道路渋滞の影響を受けやすく定時性に課題がある。

町田バスセンター
小田急線町田駅の高架下に広がる町田バスセンター。市内各地へ向かうバスが多数発着する(記者撮影)
連節バス「ツインライナー」
町田山崎団地と町田バスセンター間には神奈川中央交通が輸送力の大きい連節バス「ツインライナー」も運行している(記者撮影)

市は基幹交通として期待

市がモノレール延伸に期待する大きなポイントは、こういった交通課題の解決だ。市モノレールまちづくり推進室の担当者は「市の中央部に鉄道駅がないため、基幹交通として市内の拠点をモノレールが通ることで移動の速達性や定時性が(バスと比べて)向上し、利便性が高まる」とその意義を説明する。

多摩都市モノレール町田延伸ルート図

2021年に選定されたルートも多摩センター直結ではなく、大型の団地や学校といった市内の拠点を結びながら迂回して結ぶ。都と市などは2019年に「ルート検討委員会」を設置し、4案の中から小山田桜台団地や桜美林学園、町田GIONスタジアム付近などを通るルートを選んだ。延長は約16km。多摩センター―町田間の速達性は他案よりやや劣るものの、確実に需要の見込める拠点を経由する点が評価された。

選定時に示された利用者数の想定は1日当たり約7万5000人。1を超えると事業の効果があるとされる費用対効果(B/C)は1.1と見積もっている。算出に用いた整備コストは非公表だ。ただ、検討委は今後の収支採算性の精査などの結果によっては、他案を改めて検討することもあるとしている。

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