「最新の共通テスト」東大生も驚いた国語の超難化 漢字が持つ意味まで深く理解しないと解けない

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同じ漢字であっても、違う意味になることがあります。例えば「行」という漢字は、「旅行」「進行」のように、「どこかに行く・進む」という意味で使われる場合もあれば、「履行」「行為」のように、「なにかをやる・実行に移す」という意味で使われる場合もあります。この問題では、その使い分けを求めているのです。

今回は「行った」という言葉が、使われています。「ああ、どこかに『行った』という意味なのであれば、どこかに行くという意味がある『旅行』かな?」と思うかもしれないのですが、この問題が書いてあるページを見ると、「――で行った講演で」と書いています。つまり、「行った」は「いった」ではなく「おこなった」と読むものになります。なので、正解は「履行」になります。

このように、漢字が同じでも違う意味のものというのはいくつも存在しています。例えば「実」はリンゴや桃などの「木の実」の「実」という意味もありますが、「実際」や「実現」といった「リアル」という意味もありますよね。同じ漢字にも複数の意味があり、その複数の意味を使い分けるような問題が出題されたのです。

漢字はわかっても、答えが選べない

1つ、みなさんにも試してもらいましょう。同じ形式の問題として、こんな問題を作ってみました。解いてみてください。

「共ツウする要素」
1:ツウロ
2:ツウガク
3:ツウセツ
4:ツウホウ

さて、どうでしょう? どれが正解かわかりますか?「漢字はわかるけど、答えが選べない!」という人もいるかもしれませんね。

このように「漢字はわかっていても答えがわからない」状況が出てきます。書き取りができるだけでは、この問題は解けないわけですね。

今回の問題の漢字は、「通」ですね。「共通する要素」というのは、「全体に行き渡る」という意味になります。

この「通」という漢字は、基本的には「まっすぐにつきとおる」(通路、通行)という意味が根本にあると考えられています。そこから派生して、「ある場所に行き来する、かよう」(通学、通勤)、「言葉や情報を相手に伝える」(通報、報道)、「最初から最後までとおす」(通読、通夜)と、意味が広がっています。

選択肢の漢字とその意味は、以下の通りです。

1:通路 「とおり抜ける」
2:通学 「ある場所に行き来する、かよう」
3:通説 「全体に行き渡る」
4:通報 「言葉や情報を相手に伝える」

正解は「3」です。

注目すべき点は、「最初から最後までとおす」です。「最初から最後」は、すなわち「全体的に行き届くこと」ということを指しています。

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