「赤羽再開発」飲み屋街一掃よりも大きな問題 説明なくシナリオ示す北区に住民が不信感

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また、施設に複合するという案は第二地区からの提案で、小学校を複合施設内に入れるというもの。現在建設中の東京ミッドタウンでは低層棟に中央区立城東小学校が入居しているが、それと同じようにビル内に小学校を移転させようというのだ。

「本来であれば学校の教育環境を守り、公共性を主張できるのは自治体。再開発の計画が出た時点で影響はわかっているのに、それを民間がやることだから自分たちには何もできないと容認してしまった」と野々山氏は指摘する。

「そのうえでタワマンができたら影響があるから移転しましょう、あるいはビルの中に入れますかね、と自分たちが誘導したい方向に持っていこうというわけです。また、開発、移転などの議論についての情報もあまり出されておらず、地元はそれにも不満を感じています」

反対署名を集めた市民団体では今後も同様の活動を続けるという(写真:筆者撮影)

小学校を地元への説明なく動かす問題

せんべろの街が消えるのは残念だが、個別建て替えができない防災的に懸念のある場所を再開発で更新するという考え方自体は否定しない。かつて赤羽が商店街から飲食店街に変わってきたように、街は変化するものであり、可能なら全体を一気に変える以外のやり方や、風情を残すやり方を選択してほしいが、どんな街にも適切な更新は必要だ。

だが、小学校や公園のような公共性の高い施設を開発側の要請や区の都合などで地元に説明なく、自分の持ち駒のようにあちこちに動かそうというのはどうなのだろう。「説明すると反対されるから言わずに進める」という考え方もあるだろうが、逆に説明なく進めるほうが後日のトラブルになりかねない。子どもたちはこのやり方をどう思うだろう。

個人的には区がまちづくり基本計画のミッションとして防災に資する空地の確保を挙げているにもかかわらず、赤羽駅周辺では貴重な赤羽公園に手を出そうとしている点が気になった。どこかにこれに代替する空き地があるのだろうか。区はそうしたこともきちんと説明すべきだろう。

(*)2023年12月1日現在、北区ホームページには北区長から東京都知事あてに、市街地再開発組合設立貧家申請書を副申しましたとあり、その後の情報は掲載されていない。

中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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