言葉の達人が伝授「伝わるコピー」超実践的考え方 プロジェクトは「言葉の設計図」がカギを握る

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倉成:話が短いとなにがいいんだろう?と考えてみる。「つまんなくても、すぐ終わる」「校長先生の話より短い」。

田丸:あははは。わかりやすい。あるあるですね。

倉成:短さをもっとポジティブな言葉にしてみましょうか。「短いのに、一生覚えてる」「すぐ読み終わるのに、感動は一生続く」。

田丸:さすがですね。ドキッとする表現がたくさん出てきました。僕の本の帯に使うときには、使用料をご相談させてください(笑)。

倉成:あはは。はい、わかりました。

プロジェクト運営に欠かせない、言葉の設計図

田丸:倉成さんはご自身で自分の職業を「プロジェクト屋さん」とおっしゃっていますよね。「APEC JAPAN 2010」や「東京モーターショー2011」「IMF世界銀行年次総会2012日本開催」「佐賀県有田焼創業400年事業」、現在は2024年に国体が国民スポーツ大会に変わる1回目の大会「SAGA2024」など、実にさまざまなジャンルのプロジェクトをプロデュースされています。プロジェクトを動かしていくときにも、言葉は大事な役割を担いますか?

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倉成:建築家が家を建てるときに設計図が必要なように、プロジェクトにも言葉の設計図が必要なんですね。何をしたいのか。どんなビジョンなのか。どんな戦略なのか。それらプロジェクトの礎になるような言葉をつくります。

田丸:いわゆるコンセプトに近いのでしょうか。外に向けて発信する言葉と、プロジェクトを動かしていく人たちに向けられた言葉は違いますか?

倉成:違いますね。とにかく設計図は、みんなの気持ちや考えを同じにすることが大事です。言葉自体はつまらなくてもいいんですよ。「わかる、わかる」とか「それは理にかなっているね」と感じられるほうが大事。下手に格好つけたり、表現することでふわっとした言葉になったりすると、「結局、なにが大事だっけ?」と迷うことになります。実直な言葉でいいんです。

田丸:飾りは必要ないわけですね。

倉成:一方で外に発信する言葉は、目にとめてもらう必要があるので目立たせたり、ちょっとした作戦が必要になったりしますよね。

田丸:なるほど。

倉成:やっぱり、言葉って大事なんですよ。このプロジェクトで目指したいゴールや夢はなんなのかを明確にしておくってものすごく大事で。国も自治体も学校現場なども含めて、日本のプロジェクトは設計が緩いなと思うものが多い。それは国民性かもしれないし、日本語の言語が持つ曖昧さがそうさせているのかもしれない。「なんとなくわかるよね?」で進めてしまうんです。

ただ、プロジェクトが始まり、いろいろな人が入ってくると、曖昧な設計図ではうまくいかない。無駄なことに時間やお金をかけず、関わる人々がわくわくして取り組めるようにするためにも、最初に想いや考えをしっかりと整理して、核となる言葉をつくっておくことが大事なんです。
 

田丸 雅智 小説家・ショートショート作家

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たまる まさとも / Masatomo Tamaru

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科修了。現代ショートショートの旗手として執筆活動に加え、坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務める。また、全国各地で創作講座を開催するなど幅広く活動している。ショートショートの書き方講座の内容は、2020年度から小学4年生の国語教科書(教育出版)に採用。2021年度からは中学1年生の国語教科書(教育出版)に小説作品が掲載。著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。メディア出演に「情熱大陸」「SWITCHインタビュー達人達」など多数。

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