過疎の町「神山」に起業家志望の若者が集まるわけ 『神山 地域再生の教科書』篠原匡氏に聞く

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『神山』著者の篠原 匡氏
篠原 匡(しのはら・ただし)/ジャーナリスト。1999年慶応大学商学部卒業、日経BPに入社。日経ビジネスクロスメディア編集長、日経ビジネスニューヨーク支局長、日経ビジネス副編集長などを経て、2020年4月に独立。高齢化や過疎など日本のソーシャルイシューを題材にすることが多い。(撮影:梅谷秀司)
徳島県神山町(かみやまちょう)。人口約5000人の田舎町に2023年春、「神山まるごと高専」が誕生した。日本で約20年ぶりの新設となる高等専門学校だ。
生まれたのは高専だけではない。神山には年齢もバックボーンも多様な移住者が集まり、新しいプロジェクトを次々に立ち上げている。今、多くの組織が求めるダイナミックな変化が、なぜ辺境の神山で起こるのか。10年にわたって神山を取材してきた著者に聞いた。

「多様性のプール」が人を惹きつける

『神山 地域再生の教科書』(篠原 匡 著/ダイヤモンド社/2200円/306ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──なぜ人々は神山にはまるのでしょうか。

神山のすごさは「多様性のプール」にあります。神山は一見どこにでもある田舎です。しかしふたを開けてみると起業家、アーティスト、コンサルタント、教員などさまざまなバックボーンの人々が集まっています。

私は10年ほど前、『日経ビジネス』の記者として神山を取材しました。当時からIT企業のサテライトオフィスが設置されるなど注目されていましたが、さらにダイナミックな変化が起こるという確信はありませんでした。しかし米国赴任を経て数年ぶりに訪れた神山は、新たなプロジェクトが次々に生まれ、驚くほど面白い場所になっていました。

起業家を育てる高専、地産地食を実現する食堂、山の中の保育園、元棚田を活用したオルタナティブスクール、古民家オフィスなど、移住者が立ち上げたプロジェクトは多数。皆面白い人ばかりです。

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