言葉の達人が伝授「伝わるコピー」超実践的考え方 プロジェクトは「言葉の設計図」がカギを握る
田丸:だいたい何年くらいで感覚がつかめてきます?
倉成:5年くらいかなぁ。5年くらいは毎週300本、書いていましたよ(笑)。
田丸:すごい! 一行のコピーの裏側には、そういった積み重ねがあるんですねぇ。
倉成:ただね、これまでのコピーライター人生で、たった一本だけコピーを提案して、それが採用されたこともあります。
田丸:えーー!
倉成:2003年のポカリスエットの広告コピーに採用された「青いままでいこう。」。
田丸:そのコピー、覚えています。
倉成:これ実は、僕が新人1年目のときに宣伝会議賞に応募したコピーだったんです。たまたまポカリスエットのお題があって。そのときすでに「青いままでいこう」のコピーを書いていた。でも1次審査で落ちて、日の目は見なかったんです。それで3年目のときに社内の打ち合わせに、このコピーを持っていったら、当時のクリエイティブディレクターが「これがいいんじゃない?」って提案してくれて。一発で通りました。
田丸:すごいエピソードです。
倉成:あとはもう、これしかないっていう場合もありますね。コンドームのオカモトが新商品を開発して、ネーミングを依頼されたんです。使用すると温度が変わるという、ちょっとマニアックな商品でした。あるとき、コンドームをローマ字にして最初の「C」をとったら、「ONDOM(オンドーム)」になることに気づいた。コンドームの中に「温度」って言葉が入ってるじゃん!って。それで温度を楽しむコンドーム「オンドーム」と名付けました。これも一本だけで採用されましたね。
田丸:すごいなぁ。ある意味、言葉との出合いですよね。ハッと気づいてすぐに出合えることもあれば、出合えるまでに時間がかかることもある。切り口にあわせてパズルのようにカチッとくる言葉を探していくんですね。
ショートショートにキャッチコピーをつけるとしたら?
田丸:番組から無茶ぶりのリクエストがきていまして。言いだしたのは、僕じゃないですよ?
倉成:はい(笑)。なんでしょう?
田丸:倉成さんがコピーを考えるプロセスを知りたいと。そこで「ショートショートにキャッチコピーをつけてください」というリクエストがきています。
倉成:そうですねぇ。ショートショートのコピーだから超ショートにしたい、っていう発想がまず出てくるかな。世界一短いコピーにしたい。
田丸:なるほど!
倉成:「あ。」とか、「う。」とか、「泣き。」とか。「!」だけでもいいかもしれない。一文字で、いろんな喜怒哀楽を表現していくとか。
田丸:読者の方から、ショートショートにまつわる一文字を送ってもらったり?
倉成:それ、いいですね! あとは、短いことの効能をコピーにする。
「人生は短いからショートショートを読もう」とか、一粒で50個分のビタミンCみたいな感じで「一冊に30個分の物語が入ってます」とか。
田丸:うん、うん。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら