年末恒例の漫才コンテスト、「M-1グランプリ」。このコンテストをゼロから立ち上げた元吉本興業の谷良一氏が舞台裏を書き下ろした著書『M-1はじめました。』が刊行されました。
谷氏はM-1を企画するまで、芸人のマネージャーなどをしていました。そこで出会った異才たちとのエピソードをつづった連載エッセイ「天才列伝――ぼくの出会った芸人さんたち」を、『お笑いファン vol.3』から抜粋・再編集してお届けします。このエッセイで描かれるエピソードに、M-1創設につながる、著者の芸人に対する価値観が見え隠れします。
前編に続き、間寛平編の後編です。
全身黄色の虫みたいな恰好で空港に登場
ある年の暮れに休みが取れたので、テレビ局の人などと4人でシンガポールに行こうという相談がまとまった。
12月30日に成田空港で待ち合わせをした。
正月に海外に行く芸能人を捕まえるためにたくさんの取材のテレビや記者が来てると思いますので、なるべく地味な恰好できてくださいと念押しをしておいたのに、当日来た寛平さんを見て驚いた。
なんと黄色のシャツに黄色のズボン、おまけに帽子も黄色、全身黄色の虫みたいな格好で現れたのだ。これでは見つからない方がおかしい。私を撮ってくださいと言っているようなものだ。
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