日清食品「完全メシ」、独自技術駆使し狙う定番化 「カラムーチョ」が栄養食?可能にする技術とは

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ただ、完全メシが含む33の栄養素は「舐めると苦みやエグみがあって、そのままだと食べられたものではない」(日清食品広報)。その中で、消費者に手にとってもらうためには「おいしさ」が不可欠。それを可能にするのが、これまで日清食品が培ってきた多様なフードテクノロジーだ。

栄養素の苦みを「マスキング」する

栄養素の苦みやエグみを覆い隠すには、「マスキング」の技術を使う。麺の中心層の一部に小麦粉の代わりに食物繊維やたんぱく質を使用することで、味への影響を軽減させる技術だ。

スパイスなどでの調味もポイントになる。ここで活躍するのが、食材や調味料などの栄養素情報を蓄積した日清食品独自のデータベースだ。商品開発の過程で味をこうしたい、具材を変えたいという場合、一般的に大量の計算が必要になるが、同社はこれをシステム化し効率化している。

健康のためには減塩が求められるが、塩分はおいしさの要素でもある。日清食品は世界中から約170種類の塩を集めて味や成分を分析。完全メシにミネラルやアミノ酸を配合することで、少量の塩でもおいしく感じられるようにした。

ほかにも冷凍の完全メシであるカツ丼では、ノンフライ麺で使う技術を応用して脂質などを抑制。米には栄養素と一緒に炊いて栄養価を上げる、食物繊維を強化する、などの製法も用いられている。

日清食品は完全メシで2023年度に売り上げ60億円、2024年度には同100億円を目指す。

目標達成へ商品の拡充や消費者との接点拡大に力を入れる。今年9月末で12品だったオンラインストア向けの冷凍商品は、今年度末に20品以上に拡充。テレビ通販「ジャパネット」での販売を強化し、主にシニア層の獲得も狙う。完全メシの社員食堂への導入も積極的に働きかけていく計画だ。

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