その原因の1つは、年齢です。日本の場合、総理大臣も経営者も高齢ですよね。高齢だとなかなか成功体験は捨てられません。世界の指導者もほとんど40代でしょう。トップ就任時の年齢はオバマ米大統領が47歳、キャメロン英首相が43歳です。
震災前ですが、英国の経済状況は日本より厳しかった。その中でキャメロン首相は瞬時に消費税を上げ、歳出をカットしました。極論ですが、若いからできるんですよね。
英国の総理大臣は平均で10年間政権をキープします。キャメロン首相も当然「10年後はどうなるか」と考えながら取り組んでいるはずです。一年も持たないような田舎のおじいさんの政権だったらポピュリズムになりますよ。
海外企業の経営陣も若いだけでなく、女性や外国人が多いですよね。青田買いから順調に上がってきたのではなく、横の移動が多い。成功体験ではなくまず今のマーケットや世界の状況を見て判断するので変化が速いのだと思います。
--確かに若者や女性が活躍できる日本企業はまだまだ少ないですよね。
特に日本企業は、女性の役員がほとんどいません。ノルウェーのように「女性役員の割合が40%を切ったら上場廃止にする」とか、仕組みさえ作れば瞬時に変わるはずなのですが。生保業界なんかほとんど女性なのに、47社あって女性の常勤取締役は当社の中田華寿子だけです。
創業時に彼女をマーケティングと営業の最高責任者に抜擢したときも、せっかく集めた132億円をどぶに捨てるつもりかと皆に言われましたよ。彼女はスターバックスのマーケティングと広報を立ち上げた人間です。彼女は面接でこう言いました。
「出口さんの考えているB to Cは、スターバックスと一緒ですよね。本当にいい生命保険を消費者に届けたいという思いは、美味しいコーヒーを皆に飲んでもらいたいと思った私の気持ちと一緒です」と。彼女の言っていることは筋が通っています。