超過酷!深く考えず「副業」始めた28歳男性の悲劇 平日は会社員、土日の片方は副業で潰れて疲弊

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――よく副業をやっていると本業が疎かになるのではという心配を聞きますが、その点どうですか?

飯塚:自分がやってみて、本業の会社でやる仕事と、副業の個人でやる仕事には、別のやりがいと大変さがあるなと思います。どちらも勉強になりますし、副業をやっているからといって、本業は疎かにならないのでは? というのがやってみた感想です。そもそも副業までチャレンジする人って、本業もちゃんと仕事しているような真面目な人が多そうですよねえ。

副業の地獄パワポ1
飯塚さんがなんとなく副業を始めて直面した地獄(編集部作成)

――たしかに。飯塚さんのお話を聞くと、副業が本業のトレーニングになっていますね。

飯塚:もう、仕事に追われているときは「副業なんかやらなきゃよかった」と心から思うのですが。鍛えられた力を実感するときは、「あ、副業やってよかったな」と思うんですよね。両面、どちらも本音です。

ただスキルアップするからといって単価が低いままなのは良くないなと思うので、金額交渉することが次の僕の課題ですね。

相手に自分の大変さをわかってもらうことは難しい

――金額の交渉は、日本人全体苦手だとたまに言われますね。

飯塚:デザイナーの交渉能力がないゆえに業界で価格崩壊が起きている……みたいな面もあるんじゃないかな、と思うんです。
僕も「良いデザインありがとう」と言われると、嬉しくて、そのままの価格で次も作ってしまう。でもやっぱりしんどいなと思うことはあって、それを他人に伝えて交渉したり、誰かに相談したりというタイミングがないのが難しいと感じますね。変えていきたいです。

――飯塚さんのデザインの価格が上がることを応援しています! 今日はありがとうございました。

2回にわたってお送りした、デザイナーの兼業をしている飯塚さんのインタビュー。「ヘルシーな兼業」のためには、価格や依頼内容を交渉する術が必要なのかもしれない。

しかしそもそも企業と従業員ですら、賃金や仕事内容を交渉するのが難しい昨今。依頼主と個人事業主では、その難易度も上がってしまうように感じる。しかしそれでも、交渉しないと、相手に自分の大変さをわかってもらうことは難しい。

ヘルシーな兼業のためには、私たちはどうやって交渉すればいいのか? 今後の連載で考えていきたい。

泣きながら副業してる
本連載は月2回の更新です。連載一覧はこちら
三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。

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