仕送りは500万円「リッチ中国人留学生」の実像 高学歴を「安く」「容易に」求める若者たち

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このような中国人留学生は少数派ではない。高田馬場で出会った他の中国人留学生たちの多くも似たようなことを語っていた。

データも裏付けている。国立社会保障・人口問題研究所国際関係部の是川夕部長の調査(2019年)において、2018年の時点で中国人留学生のアルバイト率は2割強であるのに対し、母国からの仕送りのみで生活をしている中国人留学生は約7割に上ることがわかっている。

高田馬場を中国人留学生が席巻

高田馬場駅前の様子(写真:筆者撮影)

JR高田馬場駅周辺は昔から大学、予備校の類が林立する伝統的な学生街だが、近年、大きな変化が見られる。女性の中国人留学生は言う。「基本的に日本語学校の留学生ばかりが目につき、日本人は少ない感じがする。高田馬場にいると、ここが外国ではなく、中国にいるような気がします」。

娯楽をはじめとする、普段の消費状況については、

「最初は節約を意識していましたが、今はすっかり諦めました。仲のよい中国人グループと週に1、2回は飲み会や遊びに行っています。例えばカラオケとか、居酒屋とかで、毎回1人1万円くらいかかります。またこの間、大阪のUSJに遊びに行ったんですが、往復で10万円ぐらいかかりました。次は沖縄に行こうか、北海道にスキーに行こうかと悩んでいます」と話す。遊びなどで“足”が出たときは、大陸にいる親から臨時の振り込みがあるのは言うまでもない。

しかし親から年間500万円もの仕送りをもらっている身。目に見えない“圧力”も相当なものだという。

「日本での生活は楽しいけれど、時々焦りも感じる。私の直近の目的は大学院合格を勝ち取ること。1日外で遊んだあと、家に帰って落ち着いてくると『今日何もやらなかったけど大丈夫かな』とめちゃくちゃ心配になったりします」

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