仕送りは500万円「リッチ中国人留学生」の実像 高学歴を「安く」「容易に」求める若者たち
背景に経済成長と一人っ子政策
では、中国人留学生が熱狂的な留学志向を示す社会的な理由は何だろうか。
まず、豊かな中国人留学生が生まれた背景は、中国経済の発展と一人っ子政策がある。中国は21世紀に入ってからの20年間で、1人当たりのGDPが959.37ドル から1万0408.67ドルへと約11倍増加した。そうした経済成長に伴って、子どもの教育に対する投資が可能になった。
しかも子どもがたくさんいた時代には難しかったが、一人っ子政策のおかげで中間層でも教育投資をしやすい環境となっている。そうした一人っ子政策のもとで生まれた1990年代から2000年代生まれの子どもたちが、ちょうど今、高等教育を受ける年齢に達しており、新しいタイプの「豊かな中国人留学生」が増加しているのだ。
そうした中、中国でも学歴重視の風潮が強まった。国立大学に通っている26歳の男性留学生はこう答えた。
「中国において『学歴』は社会的地位の象徴です。就職に関しても修士以上の学歴がなければ、ホワイトカラーの仕事にエントリーすらできませんよ」
大学院を目指した中国の専門学校卒の20代の学生も言う。
「中国で専門学校を卒業した後に就職先を探しましたが、専門学校卒なのでほとんど駄目でした。春節などで親戚と食事をすると、叔父や叔母たちはいつも子どもの学歴に関する話ばかりするので、いつも強い劣等感を感じています」と嘆きながら、「学歴は、その人が成功できるかどうかを測る一つの基準となっています」と語る。
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