銀座松坂屋の建て替えで強まる、供給過剰の不安
東京・銀座で最古の百貨店、松坂屋の再開発計画が判明した。
2013年から建て替えを始め、17年にも商業施設やオフィス、多目的ホールが入る複合ビルとして開業する。商業施設部分は、地上6階・地下2階で6.3万平方メートル。通路など共用部分を差し引いても、現在の売り場面積2.5万平方メートルから大幅に広がり、松屋(3.2万平方メートル)や三越(3.6万平方メートル)を上回る規模になるとみられる。
再開発計画の主体は、大丸松坂屋百貨店の運営会社であるJ.フロントリテイリング、そして不動産大手の森ビルだ。港区での開発が中心だった森ビルにとって、中央区で初の大規模案件となる今回は気合いが入る。「一時は超高層ビルの建設も検討した」(森ビル)といい、六本木ならぬ“銀座ヒルズ”構想まで持ち上がったもようだ。
相次ぐ旗艦店の改装
松坂屋銀座店はここ数年、苦戦が続いていた。10年はファストファッションの「フォーエバー21」、家電量販店の「ラオックス」が相次ぎ入居、売り場の3割は賃貸借が占める。家賃収入を含めても、店舗売上高は228億円(10年)と、地域一番店である松屋の半分以下となっていた。
奥田務・J.フロント会長は業界きっての理論家で、「カジュアル化や節約志向は一時的現象ではない。高額高級商品に過度に頼りすぎていた従来の百貨店モデルは変革が必要」が持論。詳細を詰めるのはこれからだが、単に松坂屋を再入居させるとは考えにくく、動向に注目が集まる。