24時間テレビ「募金着服」よりマズい最大の問題 すでに番組そのものが時代に合ってない可能性

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(出所:日本海テレビジョンHPより)

元局長は約30年前に入社し、経理畑を歩みながら、経理部長や総務局長兼経営計画部長などを歴任した。「日本海テレビの番頭」とも言える立場だけに、社内の信頼も厚かったのかもしれないが、それは免罪符とはならないだろう。

しかし結果的には、日本海テレビ社内だけでなく、日本中の「24時間テレビ」に関わる人々を巻き込み、悪印象をつけてしまった。「資金の流れに疑いの目を向けなかった点(たとえ向けても追及しなかった点)」において、同社の責任は大きく、だからこそ実際、会長が辞任表明するほどの事態となっている。

番組の存続が話題になっている訳

とはいえ、この一件だけで、24時間テレビの存在価値を否定するのは、個人的にはちょっと一足飛びな印象も受ける。あくまで番組やチャリティー委員会は、個人の私腹を肥やすために利用された「被害者」であり、不正の片棒を担いだわけではないからだ。

ではなぜ、ここまで番組の存続が話題になっているのか。その根底には、ネットユーザーなどが、長年にわたって「24時間テレビに対するモヤモヤ」を秘めていたことがあるのだろう。そこへ募金着服という、想定しうる最悪の形が訪れたことで、「いまこそ言うべきタイミングだ」と、視聴者の不満が噴出したのではないか。

以前から、毎年8月の放送が近づくたび、SNS上では「偽善だ」といった声が増えていくのが風物詩だった。それは出演者のギャラ(出演料)しかり、芸能人が長時間にわたってマラソンを走る必要性しかり、あらゆる角度から「たたく材料」となる。

加えて近年は、いわゆる「感動ポルノ」の観点からも、批判の的になっている。健常者を「感動させるため」に、障害者をコンテンツとして消費する。24時間テレビに長年抱いていた違和感を、明快なフレーズで言語化してくれたと、胸がすく思いがした視聴者もそれなりにいるだろう。

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