24時間テレビ「募金着服」よりマズい最大の問題 すでに番組そのものが時代に合ってない可能性
24時間テレビの裏番組(放送時間が重なる他局番組)にあたる、NHK Eテレの「バリバラ」も、例年こうした角度から切り込んでいて、好評を博している。
そして、ここ数年で、エンタメ業界の構造も変化した。ここ30年近く、24時間テレビはパーソナリティー(司会)に、旧ジャニーズ事務所のタレントを起用してきた。ジャニー喜多川氏による性加害問題によって、公共性が重んじられるチャリティー活動への影響も、まったくゼロとは言えないはずだ。
加えて、スマートフォンなどの普及による「テレビ離れ」も叫ばれて久しい。今年で46回目となる24時間テレビだが、そろそろ今後について考え直すタイミングだったのではないか。
変わってきている「募金」に対する価値観
番組の根幹となる「募金」に対する価値観も、変わってきている。規模の大小を問わず、社会福祉団体みずからが公式サイトを持つようになり、これまで以上に「何に使われているか」が、よりリアルタイムでわかるようになった。
クラウドファンディングなどの普及も背景に、「貢献の可視化」が求められている風潮もある。なお日テレ系列局でも、毎週5分間の「チャリティー・リポート」が流れているが、週末の早朝や深夜など、あまり視聴者ファーストな時間帯ではない。
そこへ来て、今回の事案だ。潔白なはずである全国の日テレ系各局にも「ここでも寄付金が着服されているのではないか」といった疑惑の目がむけられた以上、その汚名を払拭するには、それなりの労力が必要になる。
今年は約8億2100万円だった「募金」は、どう使われているのか。
ちなみに日本海テレビの公表値では、山陰での募金額は例年400〜700万円程度。そのうち年によっては、1割近くの額が着服されていたとなれば、使途への疑念は募るに違いない。
すでにチャリティー委員会は、日本海テレビの公表直後に「当委員会を構成する民間放送31社では、皆様からお預かりする寄付金について、さらなる厳重な管理を行い、徹底して再発防止に努めて参ります」と発表し、初期消火にはげんでいる。しかし、具体的な防止策が提示されない限り、うがった見方は続くだろう。
すでに冷ややかに見ている人が、より離れるだけなら被害は少ない。今回の不正事案は、これまで長年にわたって、番組を信頼していた人こそ、「裏切られた」と嫌悪感を示すはずなのが問題だ。
心の奥底から「愛は地球を救う」と思っていた人たちを落胆させないよう、時代にあわせた形へのアップデートする、よきタイミングなのかもしれない。
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