美容院が苦手な子も気持ちよく髪が切れるように 発達障害の子ども一人ひとりの特性に寄り添って
その言葉に私はハッとしました。私は全然相手を尊重していないやり方をしようとしていたのです。先生の言葉で気づきを得た私は、それ以来、子どもの行動に対して「ありがとう」や「うれしいよ」といった自分の気持ちを伝えるなどして、率直にやりとりを楽しむようになりました。
お店で親に控えてほしいこと
――美容室・理容室で不安を感じている子どものため、親のほうにできることはありますか?
「スマイルカット」では親御さんに、「どうかお子さんのことでお店のスタッフに謝らないでください」とお願いしています。お子さんを叱ることや注意することも控えていただいています。
障害のあるお子さんのなかには、カットの途中で騒いだり、立ち上がったり、またスタッフを叩くなど他傷行為をしてしまう子もいます。しかしそのことについて親御さんはスタッフに「ごめんなさい」と言わないでほしいのです。
親御さんが沈んだ表情でスタッフに謝ってばかりいると、子どもは「自分が悪いことをしたのかな」と暗い気持ちになってしまいます。カットや美容室そのものがきらいになることもあるかもしれません。お子さんにとってカットがイヤな時間にならないよう、親御さんには温かく見守っていただきたいのです。
そもそもお子さんが騒ぐような行動をするのにはかならず理由があります。だから謝ったり叱ったりせずに、スタッフといっしょに行動の裏にある子どもの気持ちを考えていただければと思います。真意がわかり、ほかのアプローチを取ることができれば、お子さんに快適なカットを提供することができると思います。
スタッフによって経験や知識がちがうので、ときにうまくいかないこともあるかもしれませんが、私たちは子どもに、「カットって気持ちいいんだ」と感じてもらいたいと思っています。お子さんが自然とそう感じられるよう、ぜひ親御さんにも協力いただけたらと思います。
――ありがとうございました。(聞き手・本間友美)
「スマイルカット」の実施店は現在全国に74店舗。お近くのサロンへ、お気軽にお問い合わせください。スマイルカットの講習を受けたスタッフが、誠意をもって取り組みます。
場所は下記のURLへ
https://www.sora-pro.jp/party/smilecut_salon.html
美容師・理容師。京都市伏見区にて美容室「Peace of Hair」を運営するかたわら、2014年に「NPO法人そらいろプロジェクト京都」を設立。発達障害などで散髪が苦手な子どもへのカットを行なう「スマイルカット」活動のほか、講演やヒーローショーなどを通して障害のある子どもたちへの理解を広める活動も行なう。大阪樟蔭女子大学非常勤講師。2015年、「第 50回NHK障害福祉賞」最優秀賞受賞。
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