自分の感情に振り回されないための「4つの方法」 「どうして」ではなく「どうすれば」で考える幸せ思考

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「積極的に発言するようになったら、うっとうしいと思われるかもしれない」「給料アップを要求したら、無礼なやつだと上司に思われるかもしれない」といった思い込みがあるのなら、次のような問いかけをする。

● その考えは、白黒がはっきりしすぎていないだろうか?
● その考えに思い込みはないだろうか? 「いつも」「絶対」といった危険ワードで物事を考えていないだろうか? 
●「他人が考えていることが、自分にはわかる」という前提に基づいて、思い込んではいないだろうか?
● ネガティブなことばかりに目を向けていないだろうか?
●「こうすべき」「こうしてはならない」と、あなたが強く思っている規範が反映されてはいないだろうか?
● 他人を責めていないだろうか? 自分のことを「被害者」だと思っていないだろうか?

このように問いかけると、思い込みの呪縛が解けてくる。現実を直視せずに偏見のレンズを通して物事を見ていたことがわかってくるのだ。

「押しが強いと思われる」を「昇給に向けて努力している」「昇給の要求は理にかなっている」といった考え方に変えれば、いつもの思考を疑問視できるようになり、固定観念を捨てられる。そのためには視野を広げ、自分の問題ばかりにこだわりすぎないことを心掛けよう。

「どうして」ではなく「どうすれば」で考える

「どうして、あれほど悪いことが起こったんだろう?」と、くよくよ考えるほど不幸になる。それは多くの研究者たちが明言する結論だ。

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どうして自分はがんになったのだろう、どうして恋人にふられたのだろう、どうして就職できなかったのだろうと、頭のなかでネガティブな声に耳を傾けていると、思考の悪循環から抜け出せなくなる。

「どうして」とか「あのときべつの行動をとっていれば」という思考回路におちいったら、「どうすれば」「なにをすれば」などに変えてみる。「どうすれば、気分を上向きにできるだろう?」「この状況を変えるために、いま自分はなにをすればいいんだろう?」といったように。

このシンプルなテクニックに大きな効果があることは、臨床心理学者たちも実感している。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ人はよく、「どうして」あんな恐ろしい出来事が起こったのかと繰り返し考え、ネガティブ思考から抜けだせなくなる。

過去の出来事が起こった理由にこだわるのをやめて、「どうすれば、また自分の人生を歩みだせるだろう?」と考えるようにすれば、ネガティブ思考のサイクルから抜けだせる。

「どうすれば」「なにをすれば」という言葉とともに問いかければ、ネガティブ思考を頭の外へと追いだし、ふたたび前進できるようになるはずだ。

エレーヌ・フォックス 認知心理学者、神経科学者

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Elaine Fox

ダブリン大学、ヴィクトリア大学ウェリントン校などを経て、エセックス大学で欧州最大の心理学・脳科学センターを主催。その後、オックスフォード大学の感情神経科学センターを設立・指揮したほか、イギリス政府のメンバーとしてメンタルヘルス研究における国家戦略も担当した。現在はオーストラリアのアデレード大学で心理学部長を務め、認知心理学と神経科学、遺伝子学を組み合わせた先進的な研究を行う。またコンサルタント会社〈オックスフォード・エリート・パフォーマンス〉を経営し、トップアスリートやビジネスパーソンなどのメンタル・トレーニングの指導にもあたっている。著書に『脳科学は人格を変えられるか?』(文藝春秋)。

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