トヨタとも協業「BMW」が水素燃料に注力する真意 燃料電池車のシンポジウムで語ったその実態
「ICE(エンジン車)からの買い替えに積極的でない人が多かったり、そもそもクルマに乗る人口が少なかったり、そういう地域では充電ステーションを作っても赤字になってしまいます」
それに対して水素の利点は、既存のサービスステーション(ガソリンスタンド)に水素充填設備を設けたりコンバートしたりすることが、「比較的容易である」とドクター・グルドナーは指摘する。
「FCEVをめぐるインフラストラクチャーは、整備されつつあります。EUの場合、2030年までに人口10万人以上の都市周辺で、200km間隔での充填ステーション設置を予定しています。これは、24時間365日の自動運用。つまり、日本とは違い、ドライバーが自分で充填できるということ。最初は大型車両が中心となりますが、乗用車用の700bar拠点も含まれます」
水素ステーションの数は、2023年11月現在、ヨーロッパではドイツが圧倒的で105。北米は土地面積こそ広いものの116、もっとも多いのは中国で、300以上という。
ドイツではスマホ用に「H2-Mobility」なるアプリで充填ステーションの検索が可能。メンテナンスの予告もここに出るので、「たどり着いたら閉まっていた」ということもなさそうだ。
電気を貯められない…風力発電の問題点
話を先の「燃料電池車をテーマとしたシンポジウム」に戻す。
このとき出席したのは、ドクター・グルドナーに加えて、トヨタ自動車・水素ファクトリーの山形光正プレジデント、日本水素ステーションネットワークの吉田耕平代表社員職務執行者、それに住友商事水素事業部の相原美歩マネージャーだ。
モデレーターを務めたのは、燃料電池にも造詣が深い自動車ジャーナリストの清水和夫氏。
清水氏は、風力発電などの問題点として「発電量が多くても、電気を貯められていない問題」を指摘。ヨーロッパをドライブしていると、往々にして風力発電用の風車が停止しているのは、発電量を抑制するためで、「それがもったいない」と語った。
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