トヨタとも協業「BMW」が水素燃料に注力する真意 燃料電池車のシンポジウムで語ったその実態
「わが社としては2030年までにフリートのZEV(排出ガス中の大気汚染物質ゼロの車両)化を目指しているので、すでにハイヤーにも燃料電池車(MIRAI)導入の実績があるため、今回、BMWの実証実験に協力させていただいています」
神戸エムケイの広報担当者は、上記のように述べている。
日本法人であるビー・エム・ダブリューの広報担当者は「世界各地のさまざまな分野の人たちに実証実験に協力していただいている中で、神戸エムケイさんからは、iX5ハイドロジェンをハイヤーとして使ってのリポートを上げていただきます」としている。
BEVとFCEVに適したクルマ・環境
私がiX5ハイドロジェンに初めて接したのは、アントワープでの試乗会だった。そこで出会ったドクター・グルドナーは、ビー・エム・ダブリュー主催の「燃料電池車をテーマとしたシンポジウム」にも登壇したのだった。
「BEVとFCEV、どちらが(脱炭素の手段として自動車にとって)正解というのはないと思います。乗用車や小型商用車はBEVが向いていて、大型トラックはFCEVが向いている、そして中型トラックはその中間あたり、という位置づけでしょう」
ドクター・グルドナーはそう説明する。
「FCEVの不利な点は、燃料タンクの大きさや水素ステーションの不足などと言われてきました。あと、強いていえば、水素の取り扱いでしょうか」
その言葉をいったん切ったあと、「利点は……」と続ける。
「(BEVでは)充電施設を利用しにくい環境に身をおくユーザーがいます。それから、頻繁にクルマを動かさなくてはならず、ゆっくり充電時間がとれないユーザーもいます。寒冷地域でも、水素のほうが有利です。それから、欧米に多い牽引を定期的に利用するユーザーなど。こういう人たちは、FCEVのほうが向いています」
私の経験では、EU加盟国の中でも、イタリア、スペイン、ポルトガルといった地域では、BEVのためのチャージャーを見つけるのが難しい印象だった。
たとえば、ポルトガルの首都リスボン郊外では、大きめのサービスステーションがあっても、充電器がなかった。
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