衰退から一転、復活した欧州「夜行列車」最新事情 車両は古くても安さと車内サービスで快進撃
スウェーデンに展開中の「スネルタゲット」は、フランス系インフラ企業トランスデヴの子会社で、スウェーデンやノルウェーなどで都市間輸送を行っている。現在はストックホルム―コペンハーゲン(デンマーク)―ハンブルク(ドイツ)間に毎日夜行列車を運行しており、さらにベルリンまで運行区間を延長した。同じ区間には、旧国鉄系のスウェーデン鉄道(SJ)の夜行列車も運行されていて、こちらも同様に季節運行だったベルリンへの延長運転が通年へと変更されるなど、利用率は非常に高い。
スウェーデンは、あの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの地元ということもあってか、国民の環境問題に対する関心も高く、コロナ禍で利用者数がいったん落ち込んだものの、それ以前については過去10年にわたって鉄道利用者が増加傾向にあった。現在も、首都ストックホルムから欧州各国へ向けて夜行列車がいくつも計画されている。
車両は中古でもサービスを充実
チェコの「レギオジェット」も、プラハからスロヴァキア東部の都市コシツェまで夜行列車を毎日運行している。同社は、低廉な価格と質の高いサービスで大好評を博しており、競合する旧国鉄系のチェコ鉄道は利用減で列車本数や連結両数を減らさざるをえなくなる苦戦を強いられているほどだ。
現在は夏季限定でプラハからリエカ(クロアチア)まで臨時夜行列車も運行しており、2024年には2022年限りで廃止となったスプリト(同)行きを復活させる話も出ている。レギオジェットは、数年前にウクライナのリヴィウへ直通する夜行列車の運行を計画しており、これはロシアによる侵攻の影響で延期されているが、戦争終結後にはいち早く乗り入れを実現させたいとの意向を示している。
民間の夜行列車オペレーター各社に共通しているのは、車両については中古市場に出回っている各国の旧国鉄系会社が手放した余剰車などを活用していることで、中でもドイツでかつて運行されていた夜行列車、シティナイトラインの中古車を多く見かける。前述のスネルタゲットやレギオジェットには、いずれもシティナイトラインの中古車が使用されている。
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