大阪メトロ心斎橋「御堂筋線開業時の終着駅」の今 大阪の流行発信地、ほかの駅にない特徴とは?
階段を上がった先、仮眠スペースには何やら小さな扉があった。探検のような気分で扉を開けて中へ入ると、目の前の壁には銀色の枠が取り付けられていた。これは、利用者用の通路として使われていた頃の広告枠。役目を終えた今も、ひっそりと残っているのだ。
「実は、この階段が地上につながっていた“証拠”も残っているんです」と梅咲さん。「ここを通っているパイプは、地下に設置されているスプリンクラーなどの消火設備に水を送るためのもので、その送水口が地上にあります。今から地上に行きますが、この位置をよく覚えていてくださいね」と言われるまま、右へ10歩、前へ20歩……とカウントしながら進む。
地上へと出て、先ほどの位置に当たる場所へと向かうと、そこには果たして送水口があった。階段が役目を終えてから数十年が経つ今も、形を変えて心斎橋駅を守っているのだ。
駅に再現された“心斎橋の面影”
最後に、長堀鶴見緑地線のホームへと向かった。御堂筋線側から続く連絡通路の壁面には、かつてこの地に架かっていた心斎橋を模した装飾が施されている。
心斎橋の橋桁は長堀川が埋め立てられた後、道路橋から歩道橋として再利用されたが、それも1990年代に撤去。一方で、もともと橋が架かっていた位置には往時の欄干やガス灯が再現され、今も街を彩っている。連絡通路の装飾といい、この地のアイデンティティは様々な形で今も受け継がれているようだ。
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