道を譲る準備は着々!? ジョブズの出演が減った今年のアップルWWDC
アップルは6月6日、恒例の開発者向けのイベント「WWDC2011」をサンフランシスコで開催した。参加費用は1人約10万円にもかかわらず、WWDCのチケットはわずか2時間で完売。当日は世界各地からエンジニアなど5200人以上が集まった。同日早朝の会場となったモスコーニ・ウエスト周辺は、アップルに心酔し、それをビジネスにしている人々で凄い熱気だった。
今回のアップルの発表で開発者たちが一番注目していたのは、新たに始めるクラウドサービスの「アイクラウド(iCloud)」。音楽、メール、写真、文書、連絡先、スケジュール、プレゼン資料といったコンテンツをネットワーク上のサーバーに保存、これらのデータは、あらゆる端末から利用できると言うサービス。例えば、iPhoneで音楽を買うと、iPad、iPod、パソコン等の端末に、自動的で同期する。つまり、どの端末からでも音楽が聞けるというわけだ。すべてのアップル利用者に、5ギガバイトの保存スペースを無料で提供する「アップルクラウド」のデーターセンターは、ノースカロライナ州に建設中で、敷地面積は4万6500平方メートル。
このアイクラウドに関するプレゼンテーションは、スティーブ・ジョブズ自らが行った。また、従来、iPhoneなどの端末を使いはじめるには、まずパソコンに接続して、アイチューン(iTune)ソフトを起動しなければならなかったが、新たに導入されるOS「iOS5」では、パソコンを用いる必要をなくした。このパソコンを中心としたシステムから、クラウドによるシステムに転換するという重要な発表も、ジョブズ自身が手掛けた。
しかし、マルチタッチ・ジェスチャーなど200以上の新機能が搭載されたiOS5、マック向けのOS「Lion」などは、他の多くの発表やデモは、フィル・シラーやスコット・フォースタル上級副社長といったアップルの多くの重役たちによって行われた。
会場の参加者の一部からは、ジョブズがさらに弱々しく見えたという声が聞かれ、また一部からは、3月のiPad2の発表のときからあまり変わっていないという声も聞かれた。ジョブズの姿から受けた印象は、さまざまだったようだ。ABCニュースのネイル・カリンスキー特派員は、「すごくやせ過ぎに見えるけど、歩き方がしっかりしていて、エネルギーがある感じ」と感想を述べている。